前通りの礼

郵便局の椅子に座って順番を待っていたときのことです。
学生服をお召しになった青年が、私の席の少し手前で一瞬立ち止まってから、少し前屈みで腰を低くして足早に前を通り過ぎていらしたのです。
小笠原流礼法では、人の前を通る時の心得を「前通りの礼」として大切にしています。
一瞬のことではありましたが、その姿が優しい雰囲気を保ちながらの行動だったので、その余韻で温かい気持ちになりました。
小笠原家に仕えていた人が様々な心得についてまとめた便覧のなかにある、
「人前を前渡りとて一礼し腰をかがめて通るものなり」
の教えを自然に体現なさっていたといえましょう。

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特に急いで移動しているときは、周囲の人が目に入らないことがあるかもしれませんが、この青年のように、日頃から慎みのこころを忘れることなく行動する人でありたいものです。

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