三世代のお稽古を通じて

親子で小笠原流礼法を学びたい、というお問い合わせを頂戴することが増えました。
そのひとつとして、4月からあるご家族のお稽古が始まり、直門の師範が指導を担当しています。

IMG_5372おばあ様、お父様、2人のお子様、三世代での参加ということだけでも光栄なのですが、私がゲストに呼んでいただいたラジオ番組をお父様がお聞きになったことがお稽古ご依頼のきっかけとのこと。
そこで、直接ご挨拶ができたらと思い、わずかな時間でしたが、先日のお稽古に伺いました。

小学生のご息女は明るく元気に、中学生のご子息はこころの優しさが伝わってくるような笑顔で、おばあ様とお父様はお二人を温かく見守りながら、ご挨拶をしてくださいました。
ひとことずつ、一回目のお稽古の感想を述べていただいたのですが、なんとご息女は小笠原流の教え歌をおぼえていらして、目の前で取り出したノートに書いてくださったのです。
さらに教室を出る前、お父様から何かを受け取ったご息女は私のそばへ移動し、「どうぞ」と渡してくださいました。
頂戴した品は、ひとつひとつ丁寧にセロファンの袋に入れられた、見た目にも美しいお父様手作りのクッキーでした。
帰宅後、紅茶とともにいただいたのですが、お味も大変美味しかったです。

何よりも素敵と思えたことは、小笠原伯爵邸の建物に到着されるまでの皆様のお姿です。
四人の方々がゆっくりと、笑顔で教室へと向かわれる家族の和が穏やかな空気とともにこちらへ届いてまいりました。

宗家として、皆様にこころをお伝えする立場でありながら、皆様からこころを頂戴することばかりで御礼のことばが見つかりません。
ひとりでも多くの方がご自身のこころのなかに幸せを育まれるきっかけをつくりたい、と改めてこころに刻むことのできた機会に感謝いたします。

雨露

6月といえば梅雨の季節。
沖縄と奄美は先週、昨年と比べて早く、平年よりも遅く入梅しましたが、関東は平年通り6月8日頃になるのでしょうか。
今年の梅雨の時期は、雨の日が多く、昨年よりも長くなると聞きます。
雨が降ると衣服や靴が濡れ、髪の毛がまとまりにくいので雨の日の外出は好きではない、と思う方もいらっしゃることでしょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA雨に関する言い伝えは様々あります。
たとえば、神社を参拝するさいに降る雨は禊の意味もあって空気が浄化され、神様が喜んでくださっていることを意味するともいわれます。

また、空が晴れているのに突然雨が降ることを狐の嫁入りと呼びます。
以前、引越しの日に雨が降ったのですが、友人から「今日は狐の嫁入りで縁起がよいですね」とメールでメッセージをいただいたことを記憶しています。
日照雨を狐の嫁入りと呼ぶ理由はいくつかあるようで、そのひとつが晴天にもかかわらず雨が降る不思議な現象を狐の仕業としたようです。
農耕中心だった日本人によって、狐は田の神の使令、あるいは田の神が狐に姿を託してあらわれるなどともいわれてきたことにも関係があるのでしょう。

ところで以前、部屋の中から雨を見るのが好き、と友人が話していましたが、久しぶりにそのように感じることがありました。
先日の雨の日、窓の向こうに見える木々の枝からきらきらと、まるで宝石のように落ちていく雨露は、いつまで見ていても飽きないと思えるほど素敵で美しかったのです。
その光景を写真に収めようと携帯電話で撮影したのですが雨露は全く写らず、直接、自分の目で見る大切さを実感することにもなりました。

雨は縁起のよいものと思って、梅雨を楽しく健やかに過ごされてはいかがでしょうか。

新茶

茶摘みは年に4回ありますが、特に立春から数えて八十八日目(今年は5月2日)、八十八夜に摘まれたお茶を新茶、一番茶などと呼びます。
その年の最初に生育した新芽を摘み採ってつくった新茶を飲むと昔から「無病息災長寿めでたし」といわれ、新茶は縁起物としても扱われてきました。
八十八を組み合わせると「米」になることからも、この日は農耕にかかわる方々にとって重要であったことが推察できます。

鹿児島県は3月下旬から4月上旬頃、静岡では4月中旬頃から5月中旬頃、京都府では4月下旬頃など、産地によって収穫の時期が異なります。

IMG_5451茶道においては、5月に収穫された新茶を詰めた茶壷を涼しい場所で保管し、11月になると茶壺の封を切り、臼を碾いて粉末にして茶を点てる行事を「口切の茶事」と呼びます。
したがって茶道において抹茶の新茶をいただく時期はまだ先ですが、最近は5月に新茶として抹茶を販売されるところも増えていると聞きます。

たとえば近頃は雑誌等でホテルやカフェで抹茶を使ったお菓子のアフタヌーンティーをいただけるという記事を頻繁に拝見します。
抹茶を用いたお菓子が大好きなのですが、先日あるお店でいただいた抹茶のアイスクリームは濃厚で香りが高く、あまりの美味しさにことばよりも先に笑みがこぼれました。

IMG_5461また本日は、あるホテルにおいて期間限定で販売されている抹茶スコーンをいただき、朝から上機嫌です(笑)
このようなわけで、私にとって新茶は素敵なもののひとつです。

皆様も無病息災を願い、新茶を積極的に召し上がってみてはいかがでしょう。

濱野先生のフランス共和国農事功労章シュバリエ受勲を祝う会

昨日、料理研究家でいらっしゃる濱野昌子先生がフランス料理における多大なご功績により、フランス共和国農事功労章シュバリエを受勲されたことへの祝賀会が帝国ホテルにて行われ、日頃お世話になっている知人、友人の方々にお目にかかることもできました。

IMG_5406濱野先生は優美な紫の着物姿で登壇なさり、凛とした美しい姿勢とユーモアを交えたお話から、会場内には優しい空気が漂っていました。
高校時代、ご自宅でクリスマスパーティーを開かれたさい、ご友人が喜ぶお顔をご覧になり、お料理が人を幸福にすると感じられ、子育てが一段落された頃より「自宅でつくるホテルの味」をコンセプトに、日本で初めてサロン形式でのお料理教室を始められたということです。
また濱野先生はおじさま(故松平博雄氏)からの影響でフランスのチーズに関しても普及に努められ、チーズ鑑評騎士の会の理事でいらっしゃいます。
フランス料理を気軽にいただける昨今と比べて、戦後は食材を確保することも大変だったわけですから、濱野先生のご苦労は計り知れないものがあります。

IMG_5408人生の大先輩でいらっしゃる濱野先生の「令和の時代になってもまだ引退はいたしません」「花を咲かせたい」というおことばに会場内から拍手がわき上がり、人とのご縁を大切になさるおこころがけに感服いたしました。

さらには会場内を何度も回って皆様とご挨拶をなさるおこころ遣いに、痛み入るばかりでした。

IMG_5409着席ブフェ形式でしたが、お料理は美味しいだけでなく盛りつけにも趣向が凝らされ、帝国ホテルのスタッフの方々のおこころが感じられました。
ご子息からの感謝のおことばに、笑顔で深くうなずかれていたことも印象深く、濱野先生を心底から素敵な方でいらっしゃるという思いと、文化は人によって作られ伝えられていくことを再認識するひとときでもありました。

濱野先生から頂戴した皆様とのご縁をこれからも大切にさせていただきたいと思います。

気づかせない配慮

出張であるホテルに滞在したさいのことです。

0516今年開業したホテルで、エントランスは竹を用いた和の趣が感じられ、ガラス窓から差し込む太陽の光で開放感あふれる広々したロビー。
客室はシックでありながら、歯ブラシやヘアブラシなどのアメニティグッズは一枚の紙で包まれ、紐でかたわな結び(片方だけ輪をつくる結び方)がされていて嬉しく思いました。

チェックアウトを済ませ、スーツケースを引きながらホテルのエントランスを出て駅に向かう途中のことです。
横断歩道を渡りかけていたとき、そばに止まっていたはずのトラックが急に後方へ移動して目の前まできた瞬間、1人の男性が駆け寄ってトラックを止めてくださいました。
その方はホテルエントランスにいらしたホテルのスタッフでしたが、完全に私の姿が見えなくなるまで見守ってくださっていたのでしょう。
そのことを全く感じさせず、危険なときにだけ駆け寄ってくださる慎み深い行動に感激いたしました。

IMG_5370このたびのことから、こころから発する行動の素敵さを教えていただきました。
次回も出張のさいには同じホテルに宿泊し、お世話になったスタッフの方にお目にかかれますさいにはお礼をお伝えしたいと思います。

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