古文書の教えを日常に活かす

過日、本部教室の師範クラスにて講義をする機会がありました。
早めに到着なさった方々が「お時間まで控室でお休みください」と伝えてくださり、お部屋の隅々まで拭き掃除をし、床の間には美しい花々を活けて室内を整えてくださいました。

冒頭、お一方ずつ、礼法を学ぶきっかけを簡単にお話しいただきましたが、様々な理由から通い初めてくださったことを知り、大変嬉しく思いました。
次に、小笠原流礼法の伝書からお好きな一文を抜粋して意味を説明した後、ご家庭やお仕事場において、その教えをどのように活かしていらっしゃるかを4名の方々に発表いただきました。

たとえば、最初に発表なさった方は、「軽きものをば重きもののように心得て持つべし。
重きものをば軽きもののようにしなしたるがよし」という伝書の一説について語ってくださいました。
その方はこの教えから、ご自宅でお食事の準備をするさい、「小皿から大皿にいたるまで、すべての食器類を両手で扱う」と決めて日々、実行なさっているそうです。

三番目に発表なさった方は、「再進を請けるときは次の上に一礼して 次の下の請ける間は少し待つこころをして菜などいろいて下の者再進を請けてより喰うべきなり」の一説を取り上げられました(おかわりをいただくときは、上座の人に一礼し、下座の人のおかわりが運ばれてくるまでの間はおかずなどをいただいて待っているという心得)。
現在、高校2年生なので、クラブ活動においては、上級生にも下級生にも配慮を欠かさない心得をこの教えから学び、実行なさっているとのことです。
いずれの方も、ご自身のことばで語られた素晴らしい発表でした。

途中からクラスをご担当いただいている総師範の先生にバトンタッチをし、ご挨拶をして教室の部屋を出たのですが、私のすぐ後につくようにしながら受講生全員が建物の外までお見送りにきてくださったのです。
そのお姿から、受講生同士がひとつにまとまる、素敵な和が見えたように感じています。
門下の方々にお会いするたび、礼法をお伝えする喜びや幸せを頂戴し、感謝するばかりです。
これからも時折、他のクラスも含めて教室を訪れてみたいと思います。

IMG_7576さて、以前のブログにも記しましたが、7月30日は「難(7)が去(3)る(0)」という語呂合わせから、梅干しの日とされています。
梅干しがお嫌いではないという方、今週末は梅干しを召し上がってみてはいかがですか。

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