採長補短

風が強い日のことです。
あるビルの地下から地上に出ようと扉を開けようと何度も試みたのですが、風圧でまったく開かずに諦めかけていたそのとき、向こうから走ってそばまでいらした年配の男性が、「開きませんか?」と笑顔で扉を大きく開け、閉まらないようにと丁寧に押さえていてくださったのです。
私が外に出ると、男性はビル内に戻り、足早に駅の方向へと歩いていらっしゃいました。

そのすぐ後、訪問先のビルのエレベーターホールで、エレベーターの扉が開くと中に乗っていた5.6歳とお見受けする男の子が操作盤の前で「上に行きます」と元気に教えてくださいました。
それだけではありません。
私がエレベーターに乗る時、先に降りる時、どちらも操作盤の前に立って「開」のボタンを押し、「どうぞ」と可愛らしいお声とともに促してくださったのです。
横にお立ちのお母様は優しい眼差しで見守られていたことからも、男の子の言動はすべて自発的になさっていたことが窺えます。
恐らく、日頃の生活の中で他者を察するこころや思いを表現するかたちを躾けていらっしゃるこIMG_5211とと拝察いたしました。

ここのところ、素敵な行動をなさる方々を拝見する機会が多いのは、新型コロナウィルス感染拡大が少し収まってきて、人々の気持ちにゆとりが出てきたからでしょうか。
あるいは、私自身のこころに以前よりもゆとりができ、そのような方々の行動に気づくようになったのでしょうか。

いずれにせよ、採長補短と申しますように、他者の素晴らしいところを取り入れて己の足りないところを補いながら過ごしてまいりたいと思います。

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