万年筆の文字から

門下の方々からの手紙と指導に関する報告書を、同日に拝見することがありました。
いずれも万年筆で記されています。20190926 ブログ写真

手紙は白で罫線のない便箋に、丁寧に書かれていました。
すべての行の文字はまっすぐで、かすれた部分は一箇所もなく、必要なところには余白を空ける心得もあり、どれほどの時間をかけて手紙を仕上げたのかという書き手の「こころ」を、便箋を開いた瞬間に感じ取ることができました。

報告書は規定の書式があるのですが、こちらも罫線がないので、かなり気を配らないと目立つことがあります。
しかしながら、ぎっしりと記された文字は、まるで罫線があるかのように曲がることなく、だからといって事務的な印象を与えるどころか、むしろ温かささえ受け取ることのできるものでした。

現代において、一般的に筆は親しまれていない傾向にあると思いますが、万年筆であればどなたでも気軽に手に取ることができるのではないかと思います。
万年筆で記された文字の魅力は、何といってもインクの濃淡やペン先に入れる力の強弱や傾け方などによって、文字の濃さ、太さに変化が生まれて立体的になることです。
ただし、日頃の装いと同様に、文字の美しさも見た目のみからで決まるのではありません。
自分を全面に出すことを慎みながら、積極的にこころを動かして文字をしたためることが大切なのです。

おふたりともお仕事を持っていらっしゃるので、自由な時間にはかぎりがあると拝察いたしますが、そのなかで感謝の念を忘れずに文字を記すこころのゆとりが何よりも嬉しく素敵に感じました。
これから知人に御礼の手紙を書きますが、丁寧にこころを込めて感謝の念を伝えたいと思います。

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