こころを伝える音の型

昨日2月3日は、毎年恒例の小笠原流礼法宗家本部新春交賀会を都内のホテルにて開催いたしました。
ゲストはピアニストの仲道郁代さん。
仲道さんとは、プライベートで親しくさせていただいていますが、昨日のお話を拝聴し、一層尊敬の念が深まりました。

IMG_4514仲道さんは演奏中にハラハラと涙が溢れてしまうことがおありだそうですが、それは曲に対する感動などということではなく、祈りにも通じるような、こころの動きから成るものとおっしゃっていました。
幼い頃はお部屋を真っ暗にして、お好きな曲のレコードを、ボリュームをあげて聞かれていたとのこと。
レコード針の上の赤く点滅する光以外は何も見えないなかで曲を聴いていると、その曲の先にあるものは何なのだろうか、と目には見えないものを感じていたというお話にも門下の皆様は深く頷かれていました。

さらに、音楽は体系立てられて成り立っているため学問にもなっており、やみくもに音を組み合わせて曲ができるのではない。
型があるからこそ、その基本を守りながら自分の世界を作ることができるというお話は、小笠原流礼法のかたち(作法)があるからこそ時・場所・状況に応じて、さらには相手のこころに応じて臨機応変に行動することができるという真髄に共通いたします。

IMG_4513仲道さんのご講演に続く懇親会では、私からもご挨拶を差しあげました。
今年のテーマは「余韻を残す」。
礼法では最後まで相手に対するこころ、残心を忘れないことが重んじられますが、相手と対面しているときのみならず、相手と別れの挨拶を交わしたあとにまでこころを残す、すなわち余韻を残すことを大切にしていただきたいとお伝えいたしました。
目に見えること、ことばで表現すること、何でも表現することに重きが置かれがちな昨今、相手へのこころ遣いを空気にのせて届けられるよう、余韻を残すゆとりを育みたいものです。
仲道さんのお話は、まさにたくさんの余韻を残してくださいました。

ご体調などを理由に参加できなかった方へも、このたびの新春交賀会の素敵な余韻をお届けできればと存じます。
参加くださった皆様におかれましては、心底より感謝申しあげます。

来年は新たな元号での新春交賀会において、皆様とお目にかかれますことをこころ待ちにしております。

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