ときにはメールを

皆様も日々、電子メール(以下、メールという)をお使いのことと思います。

御礼やお詫びなど、丁重に気持ちをお伝えしたいときは直筆の手紙を選択することが好ましいと思いますし、直筆の文字には温かみがあります。
一方、手紙よりもメールのほうが気兼ねなく連絡を取り合えるという状況もあるでしょう。

ある件でこの数ヶ月ほどお力添えをいただいている方は、国内のみならず海外出張先からも進捗状況をメールで細かく報告くださいます。
しかもその方のメールには、必ず、その方のおこころが添えられています。
たとえば、ご多用のなかでお世話になることが申し訳ないとメールでお伝えしたときのお返事には、「お手伝いできることが嬉しいのです」と記してくださいました。

また過日、門下の方とメールでやりとりをしていました。
私に伝えるべき事項をわかりやすく、無駄なく、丁寧の度合いが行き過ぎることなく端的にまとめられていました。
かなり思考を重ねたうえで、送信してくださったことと拝察いたします。

image1正直なところ、メールがここまで普及する以前、手紙のほうが断然、望ましい通信手段と思っていた時期もありました。
もちろん現在も手紙を好んで書きますし、手紙に関する心得によって、メールに深みをもたせることができます。
ただし、返事を書くことが苦手と思っている相手、あるいは少しでも早く確実に情報を知らせたいときなどには、メールも通信手段のひとつに入れておく応用性は必要です。

メールにも、こころを吹き込めることができる。
そのように思う素敵なメッセージやこころ遣いをくださる方々に感謝いたします。

アリョンカサーモン

IMG_3962過日、門下の方から「ご宗家の長寿を願って」というおことばとともに、花束を頂戴いたしました。

写真上にある花はデコラマムのアリョンカサーモン。
黄色系ではありますが、ほんのりオフホワイトがかっています。
厳密にいうとマムは洋花で、菊が欧米で品種改良されたものが日本に渡ってきた花。
しかし、もとは菊ですので、菊の一種として捉えてよいのではないかと思います。

九月九日の重陽の節供に必須の菊ですが、菊の自然開花は10月から12月。
したがって、今は菊の盛りの時期ということです。
IMG_3968菊は遣唐使によって中国からもたらされ、平安時代には菊が歌に詠まれるようになりました。
鎌倉時代には後鳥羽天皇が菊を好まれ、それによって「菊の御紋」と呼ばれる、皇室の家紋に用いられるようになったとのことです。

それぞれの花の意味を知ると、差しあげるときだけでなく、頂戴するときにも、より相手のこころを受け止めることができます。
素敵な花束とおこころをありがとう存じます。

11月

11月は霜が降りる頃ということから霜月、稲の収穫を祝って神楽が盛んに行われたことから神楽月などとも呼ばれます。
一陽来復には、冬が終わって春が来る、または悪いことが続いた後で幸運に向かうという意味がありますが、まさに旧暦11月は一陽来復の「復」であり、陰の気がきわまって陽の気にかえるという月。
そのように捉えると、今月は良い方向に転じる可能性のある月と思ってもよいのかもしれません。

11月は友人、知人のお誕生日が最も多い月でもあります。
先週、ある方にお祝いのメッセージをメールでお送りしたところ、「お祝いのことばによって歳をとることも悪くないと思えてきました」という大変嬉しいお返事を頂戴いたしました。

IMG_3941またその方のメールには次のようなことも記されていました。
「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」という詩のことば、容色に限ってしまうと自然に対する人間の存在とは虚しいものという意味になってしまう。

しかし、人だからこそ常に新しい自分になれると言う意味に捉えると未来をひらく詩とも思えてくる。

この方がおっしゃるように、昨今は異常気象などはあるものの、基本的に自然は変わることなく季節が巡ってきますが、人の世は変わりやすいからこそ、一度の人生の中で自分自身の気づきによって変化し、成長することができるのではないでしょうか。
自分の思いひとつで、新しい素敵な自分に出会えることができるのです。

IMG_3952以前のブログでもふれましたが、私自身も今月、ひとつ年齢を重ねました。
ひとつ年齢を重ねるとともに、それまでの一年で得た知識や経験を重ねる。
それにより新たな自分と出会い、朗らかさとたおやかさをこころがけながら己の成長に努めてまいりたいと存じます。

卒業生対象の授業

聖徳大学附属女子高等学校3年生対象の授業を行いました。
どのクラスも落ち着きがあり、質問に対してゆっくりとことばを選びながら発言する生徒が多かったように思います。

1106礼法の授業に対しての感想を聞いてみると、次のような意見を伺いましたが、いずれも具体的で嬉しいものばかりでした。
浴衣の着付けの授業では歴史も学ぶことができ、グローバル化が進む中で今後、海外の方にも浴衣に関することをお伝えする機会があるかもしれない。
こころを学び、自分が変わったように思う。
入学当初は礼法の授業に慣れなかったが、学んでいくうちに作法には理由があることがわかり、興味を持つことができた。

また将来、社会人になる際には上司・同僚・部下に対して、家庭を持つ際には家族に対して、礼法の授業で学び身につけた他者のこころを察し慎みの気持ちを忘れないことによって、幸せな日々を過ごしていただきたいとお伝えしました。

2時間目から4時間目までのすべての休み時間には、聖徳出身の事務の方が暖かいお茶を運んでくださり、喉を潤すことができました。

今年も卒業生の皆様と素敵な時間を過ごすことができました。
お世話になった先生方、ありがとう存じます。

海軍タルト

お稽古の際、門下の方からあるお菓子を頂戴いたしました。
そのお菓子は「海軍タルト」という、鹿児島県内のお店のものです。

海軍タルト海軍鹿屋航空基地が太平洋戦争中に置かれていたとき、鹿屋市内にある、1860年頃に創業した「富久屋」というお菓子屋さんが特攻隊員の方に向けてつくっていたタルト菓子。
鹿屋市主催の慰霊祭での追悼行事において遺族の方に配られた際、「最後の瞬間にひもじい思いをしなかったようで安心した」との遺族のお声がきっかけとなり、商品として販売するようになったと伺いました。

太平洋戦争時、鹿屋市には3箇所の飛行場が存在し、鹿屋海軍航空基地からは16歳から35歳までの908名の方々が出撃して尊い命をなくされたそうです。
操縦桿を握りながら片手で食べやすいやすいように包装されている、と伺い、しばらくの間、ことばを失ってしまいました。
亡くなった方々がどのような思いでこのお菓子を召し上がったのでしょうか。
戦争で子どもを失った親御様の悲しみは計り知れません。

明日、11月6日は戦争や武力紛争による環境破壊、終戦後も続く環境被害の実態について啓蒙し、その防止につとめることを目的とする「戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー」です。
戦争は人的な被害はもちろんのこと、環境にも多大なる影響が及びます。
人にも、環境にも、あらゆる命によって私たちの生活は成り立っているのです。
その全てに畏敬の念を忘れないことによって、平穏な日々を保つことができるのではないかと思います。

豊かな時代だからこそ、真の平和を願わずにはいられません。
お菓子を通じて、改めて戦争と平和について教えてくださったことに深く感謝いたします。

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