餞別

昔は旅に出る人の馬の鼻を目的の方向へ向けて見送る習慣を「はなむけ」といいました。
ここから、旅立ちや門出を祝うために差し上げる金品、詩歌、ことばなどをはなむけと呼ぶようになったのです。
はなむけは餞と書き、餞別(せんべつ)と同じ漢字です。
餞は、ささやかな祝宴という意味。
もう一つ、贐という字も、はなむけと読みます。
こちらはお金を表す「貝」と「尽」の旧字から漢字ができていることより、盛大に祝うという意味が含まれます。

さて、小笠原流には餞別の包みという折形があり、過日の直門のお稽古でご指導いたしました。
一つの熨斗は旅立ちを祝して、もう一つの熨斗は無事にお帰りになったときを想定して付けられています。

6.16写真このように、一枚の紙を、こころを込めて折りを重ねながら気持ちを表すことができるところが折形の魅力であり、これからも様々な折形をお伝えしてまいりたいと思います。

今週は月・木曜日ともに祝日のため、本日ブログを更新いたします。

さざれ石

時折訪れる日枝神社。
それにもかかわらず、宝物殿のそばに、さざれ石があることを初めて知りました。

ご承知の通り、さざれ石は「君が代」の歌詞にも登場します。
君が代のもとになったのは、古今和歌集の「我君は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」ですので、平安時代から「さざれ石」の存在があったことがわかります。
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さざれ石はさされ石ともいい、漢字では細石と書きます。
つまり、さざれ石は小さな石のことで、さざれ石の欠片の集まりが炭酸カルシウム等によって一つの塊になったものが巌であり、学術的には石灰質角礫岩(せっかいしつかくれきがん)と呼ばれます。
長い年月をかけてできるため、大変縁起のよいものと考えられ、こうした岩自体をさざれ石と呼ぶこともあります。

京都の護王神社には幅3メートル、高さ2メートルのさざれ石があると伺ったことがあり、いつの日か拝見したいと思います。

 

 

 

 

前通りの礼

郵便局の椅子に座って順番を待っていたときのことです。
学生服をお召しになった青年が、私の席の少し手前で一瞬立ち止まってから、少し前屈みで腰を低くして足早に前を通り過ぎていらしたのです。
小笠原流礼法では、人の前を通る時の心得を「前通りの礼」として大切にしています。
一瞬のことではありましたが、その姿が優しい雰囲気を保ちながらの行動だったので、その余韻で温かい気持ちになりました。
小笠原家に仕えていた人が様々な心得についてまとめた便覧のなかにある、
「人前を前渡りとて一礼し腰をかがめて通るものなり」
の教えを自然に体現なさっていたといえましょう。

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特に急いで移動しているときは、周囲の人が目に入らないことがあるかもしれませんが、この青年のように、日頃から慎みのこころを忘れることなく行動する人でありたいものです。

菊の着せ綿

9月9日は、重陽の節供です。
奇数の極である9が重なる、ということからいい、重九とも呼ばれます。9.9写真②小さく

また重陽の節供は、菊の節供との別名もあり、この節供に菊の花を欠かすことができません。

9月8日、菊に真綿をかぶせて露や香りをうつし、翌朝にこの綿で顔や身体をなでると長寿を得る、あるいは厄を祓うともいわれています。

今日はすでに9日なので着せ綿には間に合わないという方、菊の花を湯船に浮かべた菊湯をご存じですか。
菊の香りは疲れを取り、血行促進の効果があると聞いたことがあります。
夏の疲れを菊湯で癒し、心身ともにすっきりなさってみてはいかがかと存じます。

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ガジュマルが教えてくれたこと

精霊が宿り幸福を運ぶとされるガジュマル。
育てやすいとも伺い、オフィスにと小さなガジュマルを購入しました。
ところが、数週間経過し、気づくと葉が落ち始めたのです。

ガジュマルの花ことばは「健康」なのにもかかわらず、葉の色は薄くなり、葉もほとんどが落ちて元気がなくなっているガジュマルをどうしたらよいかとスタッフ達と相談しました。
おそらく、水を与えすぎたこと、日の光が足りないのではないかということになり、適度に日に当て、水は1週間に1度程度としました。

すると、徐々に葉の緑が濃くなり、新芽も出てきて元気になりました。
嬉しかったことは、それだけではありません。
スタッフ達が「頑張れ」「元気になれ」「大切にします」などと木に向かって声をかけている姿を目にすることができたことが、微笑ましく、幸せを感じました。

このたびに限らず、木の葉が落ちると、はかなく思うことがありますが、それは木の生命が続くための過程であり、育てる側はあきらめるのではなく辛抱して待つことが必要なときもあるということを改めて学びました。
時折いわれることですが、木は人の成長にも似ているところがあります。
よいときもあれば辛抱のときもあり、様々な季節の変化や困難にも対応しながら、植物も人も、日々前進していくのでしょう。

9.6写真これからもガジュマルが元気に育ち続けますように。

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