出で立ち

過日、直門のお稽古にて三議一統という、足利義満の命により今川氏頼・伊勢憲忠両氏とともに小笠原長秀が武家の礼法の基本として編纂した、室町時代の伝書を読んでいたときのことです。

「騎射の人…(中略)…肩衣にても出で立つべし」という箇所に差し掛かったさい、「出で立ちということばを最近使わなくなりましたが、改めて聞くと素敵なことばですね。死語にならないよう、これから服装、ではなく出で立ちを用いたいです」という門下の方からのおことばに誰もが頷きました。

旅立ち、出陣などふだんと違った身ごしらえをすること、門を出た所、旅立ちのさいの食事や送別の宴会、立身出世など、外出のさいの服装の他に、出で立ちには様々な意味があります。
時には、服装ではなく、「出で立ち」をお使いになってみてはいかがでしょう。

DSC05773ところで、写真は2020年2月に都内で行われた小笠原流礼法宗家本部新春交賀会にて撮影したものです。
その後、飲食を伴う集まりは今日に至るまで開催していませんが、来年こそ、全国の門下の方々と、派手になり過ぎることのない趣のある出で立ちでご一緒できることを祈るばかりです。

実りの秋

秋が穀物や果物の収穫が多くなる季節であることを、「実りの秋」と表現することがあります。
その中でも、農耕が中心であった日本人にとって、穀物が豊かに実ること、すなわち五穀豊穣は自分たちの生活を安定させるためにも大切なことでした。
そこで、五穀とは何を指すかをご存じですか。

24291385_s五穀とは、コメ、ムギ、アワ、キビ、マメが基本ですが、キビのかわりにヒエを入れるという説もあります。
神様に供える飲食物を神饌(しんせん)、または御饌(みけ)ともいいますが、神饌は米、酒、塩、水が基本であることからも、お米がいかに大切であるかがわかります。

また祭りの後、神様にお供えしたものを神職の方や参列者でいただくことを直会(なおらえ)といい、この共食によって神様と人が一体になると考えられていますが、その簡略化として御酒をいただくことがあります。
これは、御酒がお米から作られており、さらに調理しなくてもその場でいただくことができるからです。

IMG_8166さて、先日は山梨の門下の方よりぶどうを拝受し、甘味豊かなお味とみずみずしさに感激しながらいただいています。
これから新米も店頭に並び、美味しい食材があふれる季節となりますが、単にお味を楽しむだけでなく、実りの秋への感謝を忘れないようにこころがけてまいりたいと思います。

彼岸の明け

秋分の日を中日として前後三日間が彼岸の期間ですが、本日26日は彼岸の最終日、すなわち彼岸の明けと呼ばれる日です。
彼岸は、サンスクリット語の「あちら側」を意味します。
煩悩に満ち、生きている人々が住むこの世を此岸(しがん)、煩悩を解脱した涅槃の境地、極楽浄土を彼岸と呼びます。

またこの期間は、先祖供養としてお墓参りをいたしますが、お供えだけでなく、近隣の人々におはぎが配られていたといわれています。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、おはぎが用いられるようになったひとつの理由は、小豆です。
小豆の赤色が邪気を祓うと考えられているのです。
24541311_sしたがって彼岸の期間は、おはぎだけでなく、お赤飯を食べることもあります。

この時期にお墓参りをすることができない方も、彼岸の明けの本日は、今があることをご先祖様に感謝しながらおはぎやお赤飯などを召しあがって、お過ごしになってはいかがでしょう。

心地よい動作を拝見して

少し前のことですが、久しぶりに大好きなカフェに行くことができました。
そのお店は大変人気があり、並ばずにお席に着くことはなかなか難しいのですが、入り口付近にある画面で連絡先を入力するとその場を離れても大丈夫なことがわかり、用事を済ませてからお店に戻ると、ちょうど順番がきました。
さらには、最もゆったり座ることのできる一人がけのお席に案内され、思わず笑みがこぼれました。

店内は、清浄な空気が感じられるのですが、その理由のひとつを目で理解することができました。
前方にあるテーブル席からお客様がお帰りになるとすぐに、2名のスタッフでテーブル上を速やかに片付け、テーブルと椅子を除菌しながら拭き、最後に椅子の下に荷物入れを丁寧に置き、それぞれの椅子が美しく並んでいることを確認してから、次のお客様を通していらっしゃいました。
慌ただしくなく、だからといって遅すぎることもない、一連の動作が実に心地よく感じられたのです。

IMG_8124ところで今回注文したのは、写真の季節の生菓子。
三種類の小さなお菓子がいただけるのですが、名は菊日和と伺いました。
外はかなりの暑さだったので、冷たい緑茶をいただきながら、至福のひとときを過ごすことができました。
涼しくなる頃に、是非またこちらのお店を訪れたいと思います。

敬老の意味を考える

今年の敬老の日は、9月19日です。
国民の祝日に関する法律では敬老の日を「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」としています。

聖徳太子が四天王寺に悲田(ひでんいん)を設立したと伝えられる日にちなみ、1951年からとしよりの日と呼ばれていたという説があります。
悲田院とは慈悲のこころで貧困や病などで困っている人、孤児を救うために設けられた施設です。

敬老の祝い包みその後、1964年から老人の日と呼ばれて敬老行事が行われ、2001年の改正によって9月15日であった敬老の日は、2003年から9月の第3月曜日に変更されました。

「敬」には、真心を込めて努める、という意味があります。

是非19日の敬老の日は、年齢を重ねた方々に対していつにも増して思いやりを忘れずにお過ごし下さい。

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