瞬時の判断

早朝に母と車で移動していたとき、路地を曲がると、車道を目の不自由な年配の女性の方が歩いていらっしゃいました。
すぐに停車し、その方が安全なところまで移動なさるのをお待ちしようと思った瞬間のことです。
後方から30代くらいとお見受けする男性が女性のところに走り寄って声をかけ、腕に軽く触れながら歩行者用の道へと誘導してくださいました。
見知らぬ人同士、しかもコロナ禍ということもあるので、腕に触れる前にひとことお伝えになるご様子でした。

そのようなお姿があまりにも自然で感動したのですが、それだけではありません。
私たちが窓を開けて「ありがとうございます」と御礼をお伝えすると、笑顔で丁寧なお辞儀を返してくださったのです。
その表情が穏やかで、しかも間(ま)を持ったお辞儀から、その方のおこころを含めてなんと素敵であるかということを重ねて感じました。7.26

瞬時の判断にこそ、その人のこころが映し出されます。
朝から温かなこころ遣いにふれ、爽やかな気持ちになりました。

年賀状を楽しむ

本日のタイトルをご覧になった方、「暑中見舞いを7.15写真出す時期になぜ年賀状?」とお思いになったかもしれません。
タイトルを決めた訳は、お世話になっている方が今の時期から年賀状の準備をなさるというお話を伺ったからです。

夏から準備なさるかの理由は、約4300枚もの年賀状に全て直筆のメッセージを記されるからなのです。
それだけの枚数となると、お名前とお顔がしっかり一致しない方がかなりいらっしゃるのでは、という周囲からの問いにも、「ほとんどの方はお顔を浮かべてメッセージを考えることが楽しい」ともおっしゃっていました。
長きにわたり、これだけの枚数を出し続けられるモチベーションの根底に「年賀状を書くことが好き」とも語られ、同席者一同、感動を胸に何度も大きく頷きました。
しかも、住所不明で戻ってきたものは、可能な限りお調べになるそうです。
その方は、年賀状に関してのみならず、いつお会いしても周囲を明るくしてくださる素敵なお人柄です。

しばらくお会いしていない方にも、年末に投函する年賀状には、今まで以上に、文字に想いを込めながらメッセージを記したい、とこころから思えた機会に感謝いたします。

皆様のお支えがあって

光栄なことに、海外のスポーツ番組より、取材のご依頼をいただきました。
そのことも大変嬉しかったのですが、準備の段階から幸せな気持ちが高まりました。7.15
なぜなら、いつもお世話になっている総師範の方に床の間のしつらえをお引き受けいただき、その方の門下生がお仕事の半休を取って教場内にお花を活けてくださったのです。
当日は本部スタッフのお手伝いもあり、支えてくださる方々のお力添えによって、今があることを痛感いたしました。

さて、取材の目的は、オリンピック期間中、スポーツ以外に日本の礼儀作法を視聴者にお伝えになりたいということだったのですが、レポーターやプロデューサーの方々の優しいお人柄のおかげで終始、和やかで素敵な雰囲気に包まれました。
小笠原伯爵邸の門にてレポーターの方をお迎えすると、すぐに可愛らしい風呂敷に包まれたおみやげと名刺を渡してくださいました。
お庭を歩きながら建物に関するお話をし、館内の喫煙室では椅子に座ってしばらく雑談。
その後、教場へと移動してから、握手とお辞儀、それぞれを行う理由についてお話すると、目を輝かせながら聞いてくださいました。
また日本人の清浄感に対する思い、風呂敷の扱い、名刺交換などについてご説明いたしました。7.15その2
折形にも触れていただきたいと思い、月謝包みを作成したのですが、真剣に紙を折っていらっしゃるお姿が印象的でした。
和室での正座はおみ足がお辛そうでしたが、座礼にも興味を示され、真摯な態度で何度も練習なさっていました。

このたびの取材を通じて、他国の方々が日本の礼儀作法に興味を持ってくださるきっかけとなりましたら幸甚に存じます。

信頼と味

過日、息子さんがお料理を、お母様が給仕をなさっているお店でお食事をしたときのことです。
お世話になっている方が、プライベートに関する嬉しいお話を聞かせてくださいました。

お話を一緒にお聞きになった瞬間、息子さんはことばに表さず、ただ指を縦に口へと当ててお母様に示されたのです。
その行動で息子さんが何をいいたいのかを理解なさったお母様は、「お客様の大事なお話を伺えてとても嬉しいです。もちろん口外はいたしません」とおっしゃり、息子さんは小さく静かに笑顔で頷きながらお料理をお皿に盛り付けていらっしゃいました。

おおげさにせずに、お客様の気持ちを察する。7.12写真
親子の優しい言動が信頼感を生み、さらにはお料理の味にもつながる。
何と素敵なことでしょう。

幸せな空間は、人が作り出すことを改めて学びました。
ご一緒した方々に深く感謝いたします。

 

 

ものごとの捉え方

誰にでも悩みごとはあります。
大抵の人は全く気にも止めないことに憂患する人がいます。
多くの人が愁眉する状況でも笑顔の人がいます。
悩みごとに関して、何が間違えで何が正しいとはいえません。
物理的に自分の力のみでは解決の方法がない状況まで追い詰められた人にしかわからない心情もあるでしょう。

ものごとの捉え方が少し変わることで、生きることに前向きになれるとしたら、何と素敵なのだろうか。
過日あるテレビ番組で、生まれながらに顔にアザを持つ方のお姿を拝見しながら、そのようなことを思っていました。
7.8写真
小笠原流礼法では、常に相手や周囲を察して言動に表すことを説いてまいりました。
礼法を身につけることで、煌々とした表情の方が増えるきっかけに少しでもなりますよう、私自身、精進を重ねてまいりたいと存じます。

このページの先頭へ