トゥンカロン

20200924打ち合わせの折、お世話になっている方からおみやげを頂戴いたしました。
箱の中に入っていたのは、色鮮やかなマカロン。
このように、通常のシンプルなマカロンがデコレーションされているものをトゥンカロンと呼ぶそうです。
呼び名のルーツを調べたところ、このお菓子は韓国発祥で、韓国語で「トゥントゥンハンマカロン」は「太ったマカロン」という意味。
トゥントゥンハンマカロンを省略して、トゥンカロンとなったようです。

マカロンはイタリアが発祥で、のちにフランスに伝わります。
ルイ14世とスペイン王女マリー・テレーズの結婚式のさいに献上されたサン・ジャン・ド・リュズに本店がある「メゾン・アダム」のマカロンがきっかけとなり、フランスでもマカロンが広まったそうです。

マカロンといえば、忘れられない思い出が二つあります。
今から15年以上前のことですが、趣味の域を超えるほど本格的なお菓子をお作りになる門下の方がお稽古の折にマカロンを作ってきてくださったのです。
2口ほどでいただけてしまうくらいの小ぶりの可愛らしいマカロンでしたが、前日から準備を始め、かなりの時間を要して丁寧に作ってくださったことが後にわかり、今でも忘れられないほどの感激をいたしました。

もうひとつの思い出は、5,6年前にパリでワークショップを行なった時のことです。
酷い風邪を引いてしまい、毎日ワークショップの会場とホテルの往復をするのみだったのですが、現地でお世話をしてくださった方が帰国日にホテルまできてくださり、美しいマカロンをおみやげにと持たせてくださいました。
帰国後、その方の優しいこころ遣いがマカロンに詰まっているような思いで頂戴したことを憶えています。

見た目にも素敵なトゥンカロンにこころをのせて、近々お世話になっている方に差しあげたいと思います。

六義園

20200917(1)文京区にある六義園を訪れました。

六義園は、徳川綱吉から絶大なる信頼を得ていた柳沢吉保が、1695年に綱吉から下屋敷として与えられた土地を自ら設計したものであり、江戸の二大庭園(もうひとつは小石川後楽園)のひとつです。
御殿を六義館、庭園を六義園と称し、この庭園は「回遊式築山泉水庭園」で7年もの歳月がかかっています。

なぜ六義園という名称になったのかについて、簡単に調べてみました。
吉保は和歌に造詣が深く、中国最古の詩集「詩経」における詩の六種の分類法を六義といい、その六つとは風(ふう)・雅(が)・頌(しょう)・賦(ふ)・比(ひ)・興(きょう)を指し、これを紀貫之が古今和歌集の序文で転用したことに由来するとのこと。
また、柳沢氏は武田家一門の一条氏、すなわち甲斐源氏の末裔です。

20200917(2)六義園の紅葉の時期は例年10月下旬から11月上旬ですが、今年はしだれ桜に続いて紅葉のライトアップも中止されるようです。
来年は、季節ごとに異なる庭園の素敵な景色を、ライトアップのもとで、多くの方が安心して愛でることができますように。

サンマ

秋の魚を代表するサンマ。
サンマの漁獲量は減少していて、年々高価な魚になっています。
また夏のサンマは高価で、秋になると漁獲量が増えるので手に取りやすい価格になるともいわれます。

サンマは漢字で書くと、「秋刀魚」「三馬」。
「秋刀魚」と記すのは、体が刀状で秋の魚であることに由来します。
「狭真魚(さまな)」の音が語源ともいわれています。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、食膳に供する魚を「真魚」といい、幅の狭い魚という意味でつけられたのでしょう。
江戸時代までは、サンマとサヨリと区別されにくかったとも聞いたことがあります。
夏目漱石の「吾輩は猫である」には、三馬とあります。
三馬には、三頭分の馬力が出る、という意味が込められているようです。

20200914(1)さて、お食事の最後にサンマご飯をいただくことがありました。
友人がお代わりをするさい、お店の方に「恐縮ですが、お海苔を少々頂戴できますか」と依頼し、そのおかげで私も二通りの美味しいサンマご飯を楽しむことができたのです。
20200914(2)

味覚の秋、素敵な食材があふれますが、食欲があるのは健康の証拠。
視覚、味覚、臭覚などあらゆる角度から秋を楽しみましょう。

節供を2回楽しむ

kiku63昨日9月9日は、重陽の節供です。
以前もお伝えしましたが、「6日の菖蒲、10日の菊」といわれるように、5月6日に菖蒲、9月10日に菊を飾ることは、すでに時期を過ぎているので避けるべきといわれます。

しかし、次のように考えることもできます。
今の暦に旧暦を当てはめると、今年の重陽の節供は10月25日。
そう考えると、昨日、節供のお祝いや節目の祓いができなかったという方は、来月に機会を設けてもよいかもしれません。

あるいは、本日は重陽の名残を楽しむと捉えて、お部屋に菊を数輪か飾り、キク科耐寒性の一年草であるカモミールなど召し上がりながら、ゆったりお過ごしになるのはいかがでしょうか。

20200910ところで、今年も京都嵐山にある法輪寺の茱萸袋を拝受することが叶いました。
茱萸袋に入れる呉茱萸は香りが強く、ゆえに邪気を祓うといわれていますが、室内に飾った瞬間から空気が清浄化されて清々しい気持ちになります。

今年最後の節供を素敵に応用しながら、非日常を楽しんでみてはいかがですか。

フェルメールと昆虫

少し前のことですが、生物学者の福岡伸一氏とお目にかかることがありました。
福岡氏は、世界中にあるフェルメールの作品は、すべて所蔵されている美術館等の現地でご覧になる、とご自身の中で決められていると伺いました。
ニューヨークにあるフリックコレクションという個人の美術館にいらしたことが、フェルメールへの興味を深めたきっかけだったとのことです。
フリックコレクションは故ヘンリー・クレイ・フリックにより設立され、近くにあるメトロポリタン美術館やグッケンハイム美術館と比較すると決して大きな美術館ではないのですが、静かで独特な落ち着いた雰囲気があり、私自身もニューヨークで最も好きな美術館です。
福岡氏が教えてくださったフェルメールに関するお話は、今まで知らなかったことを伺う貴重な機会でした。

さらに、「ハチやゴキブリが絶滅したら自然の生態系に多大な影響があるが、人類が絶滅してもさほど影響はない」というお話がこころに残りました。
人間がいなくても、自然界が滅びることはない。
そう考えると、人間がこの世の中を支配しているのではなく、私たちが自然によって生かされているのでないかとも思えます。
そのようなことを先人たちはすでに気づいていて、自然に対する感謝の念を様々な年中行事を通じて育んでいたのかもしれません。
20200907
ラピスラズリを用いたフェルメール・ブルーをひとつでも多く現地の美術館にて鑑賞するという素敵な旅を、いつの日か私も実現できますように。

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