お誕生日祝いのメール

大切な仲間のひとりが人生において大きな節目のお誕生日を迎えました。
まずはメールでお祝いをお伝えしたのですが、すぐにお返事が届きました。
ガーベラ
メールが嬉しくて愛犬を抱き上げてくるくると回ってしまった、と記されていたのですが、そのあとに続く文章からも彼女の明るさ、優しさ、真摯なこころが伝わってきて、温かな気持ちになりました。

直筆の手紙と比べるとメールは事務的な印象を与えやすいとは思いますが、このたびのようにやわらかい印象をつくることもできます。
それには、目に立たないよう、慎みを持って自分のことばで相手への思いを表現することが欠かせません。
彼女のメールの文章は、いずれの箇所も自分本位ではなく、まず私への感謝や配慮が感じられます。
ゆえに、どのことばも自然にこころに届いてくるのです。

素敵なメールのお返事から元気を頂戴いたしました。
なるべく日を開けずに、直接お目にかかってお祝いをお伝えしたいと思います。

その日の夕方、空の景色があまりに美しく写真に収めました。
実際と比べると色が暗いのですが、皆様にお届けいたします。IMG_6192

いのちの授業

1985年8月12日、羽田空港を飛び立った日航機が御巣鷹山に墜落してから34年の月日が経ちました。
どれだけ年月が過ぎようとも、ご遺族の悲しみが癒えることはないであろうと拝察いたします。

当時小学校3年生だったご子息をこの事故で亡くされた美谷島さんが、ご子息が通っていた小学校で「いのちの授業」をなさっている様子をテレビで拝見しました。
ご自身は、ご子息が25メートルを初めて泳いだご褒美にと一人で飛行機に乗せたことを悔やみ、ご家族もご子息に対するそれぞれの悲しみを胸に抱えていらっしゃるなかで、悲しみには同じ悲劇が二度とおきないようにするための大きな力があるとおっしゃっていました。
モントブレチア
誰かが悲しんでいるとき、そっとそばに寄りそうだけでもよい。
あるいは、「悲しいときは泣いてもよい」とそばで伝える。
日々を大切に過ごしてほしい亡くなった人から生きている人への命のバトンを皆さんに受け取って欲しい、とも生徒の方々に伝えていらっしゃいました。

美谷島さんの悲しみは察するに余りあるものがありますが、こどもたちの未来を考えて、このような活動をなさることに畏敬の念を抱くばかりです。
命あることに感謝しながら、日々を過ごしてまいりたいと思います。

THE TAIYO

お世話になっている方から、明治時代に発刊された日本初の総合雑誌「太陽」を頂戴いたしました。
目次を開いてみると、「藝術品の鑑賞と賣買 伯爵小笠原長幹」と曽祖父の名前が記されていました。
IMG_6185曽祖父は貴族議員になったのち国勢院総裁などを務めていましたが、一方では彫塑に優れ、文展(文部省美術展覧会の略、現在の日展のようなもの)で作品が入選したり、長唄協会の会長を務めたりするなど、芸術にも造詣が深かったようです。
太陽の文中には、「審査員は神でない限り出品者の全部の趣味と己の趣味とを同化させて出品者の何人にも満足を与えることはできない」「芸術家は作品のうえにおいて社会の風潮に媚びることは賤しむべきこと」としながらも、「しかしながら芸術即ち生活である以上、芸術家は常に社会の指導者時代の先覚者たると同時に、作品の売却については社会に接触し、社会状態、国民の財力と均衡をとって自己の生活を完全にするということは決して恥ずべきことではないと思う」など、審査する側の心得と、作品をつくる側の心得についても触れています。

芸術の進歩に向かって芸術家が研究をなすべく資金を周囲が与えることは必要で、そのためにも芸術家は作品を売却して生活の安定を図ることは当然である、という内容も記されていますが、恐らく自身への思いも込めた、次の一文もありました。
「身分あり富のあるものが芸術に携わる以上はその身を忘れるまでの覚悟で努力しなければ芸術に対して大成は覚束ないのである」
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この心得は、礼法にも通じるように感じます。
上の立場になると、周囲からの礼を受けることに重点が置かれてしまいがちですが、常に謙虚な気持ちを忘れないことによって、己を成長させる。
それが仕事の成果やプライベートの充実感などに繋がることもあるでしょう。
また作法は、誰もが不快に感じないであろうことを基準として、かたちに表したものですが、そこに個性が存在してこそ、真に身についた作法であり、だからこそ人のこころに届けることが可能となるのです。
作法にのみしばられるのではなく、己のこころから発する作法によって礼法を現代に活かすことをお伝えしたい、という気持ちを深くいたしました。

ところで太陽の表紙、何ともかわいらしくシンプルで素敵です。

今日は立秋ですが、まだまだ太陽の日差しが厳しく、八月の平均気温は平年を超えるとの予報です。
皆様、お身体を大切にお過ごしください。

人生を楽しむ

IMG_6169日頃よりお世話になっている方々に小笠原流礼法をお伝えする会をつくっていただいておりますが、前回に続き、会員のおひとりが美しいお庭もあるフレンチレストランを紹介してくださいました。

仕事だけでなく、人生の先輩でもある皆様からは様々なことを教えていただきます。
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ある方からは、「自宅の庭できゅうりやみょうがなどの野菜栽培を始めた」と伺いました。

鮎につける蓼酢が必要なときはすぐにつくることができるようにと蓼も植え、カラシナの種のお手製マスタードは素晴らしく美味しいと、周囲にお座りのご友人方から伺いました。
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そのほか、茶道や武道を嗜んでいる方、トライアスロンを続けている方、手作りのお料理でお庭でのホームパーティーを楽しんでいるという方、ご夫妻で旅行する機会が増えたという方、皆様が日々の暮らしを謳歌して過ごしていらっしゃる様子を拝聴いたしました。

IMG_6162翌朝は、老舗のカフェにて朝食をとりました。

人生を楽しんでいらっしゃる皆様の表情はどなたも素敵で、お話を伺う私まで喜びを深く感じた前日のことを思い出しながらいただく朝食のお味は格別に美味しかったです。
「謳歌」ということばには、声をあわせて歌うという意味もあります。
互いの幸せを周囲の人々と喜び合うことは、まさに声をあわせて歌うことにも通じるのではないでしょうか。

IMG_6168誰にでも悩みや困難なことはあると思います。
その一方で、好きなことや興味を持てることに出会い、それによって活き活きとした表情で過ごす。
そうすることで己だけでなく周囲の人をも幸せな気持ちにできることを、身をもって教えていただきました。
このたびお力添えいただきました方々にこころより感謝いたします。

ほとけさま

時間にゆとりができたので、南青山にある根津美術館にまいりました。
7月25日から8月25日までの1ヵ月間、「優しいほとけ、怖いほとけ」という企画展が開催されています。http://www.nezu-muse.or.jp/

IMG_6146仏教の尊像は如来、菩薩、明王、天の四つに分けられますが、仏教の真理を体現する厳かな如来、慈悲のこころで人々を救済するやさしい菩薩、武将の姿で外敵を撃退する四天王のような天を含めた厳しい憤怒相まで、優しいほとけさまと怖いというよりも厳しいほとけさまを拝見することができました。
もっとも印象に残ったのは、優しいほとけさまのなかでも平安時代に作成された木造彩色の観音菩薩像です。
平安時代後期の王朝人は、穏やかな面立ちの優美な仏像を好んだといわれることを納得できるほど、いつまでもお顔を眺めていたいと思うほど素敵でした。

IMG_6142優しいほとけさまだけでなく、迷いや邪念を不動明王の猛火に投じ、毘沙門天に福徳を願うことは、どの時代においても自然な姿なのかもしれません。

美術館で過ごしたひとときは、外気の暑さを忘れるほどでした。
このような時間を大切にしたいと思います。

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