伝え方と受け止め方

何名かの方々とご一緒したときのことです。
女性お一人が遅れて到着され、皆様との名刺交換後に私の前の席にお座りになりました。
しばらくすると、会を主催する方が少し遠くの席から私たちのテーブルへと移動して雑談を交わされた直後のことです。

その方はさりげなく遅れていらした女性のお顔をご覧になりながら「明るく可愛らしくて楽しい方ですね」と笑顔でおっしゃると、「ただ、人と会う瞬間は、相手の目を見て挨拶をするほうがいいと思う。国内外問わず、相手の目を見ないと信頼を持ってもらえなくて誤解される可能性があるのでもったいない。それができたら、みんなが君のファンになること間違いない」と続けてお伝えになりました。
女性は穏やかな表情で話をお聞きになり、「そうですね。これからは人の目を見て挨拶するようにします」と素直におっしゃいました。

相手の良い点を伝えてから、自分の感じたことを話す。
伝えられた側は、相手のことばを真摯に受け止めて素直に感謝の気持ちを伝える。
双方に他者への思いやりがあるからこそ、お二人の会話を通じて、さらにその場が和んだのではないかと拝察いたします。

IMG_6935相手の気持ちを害さずに思いを伝えることはときに難しく、伝えること自体に勇気が持てない状況もあるかと思います。
しかしながら、それらを超えることで、より素敵な空間が広がると実感いたしました。

皆様とのご縁だけでなく、学びの機会をも頂戴したことに感謝いたします。

懐紙と折形

門下の方からお稽古の日に素敵な懐紙を頂戴いたしました。

写真の通り、猫の足あとやさくらの花のかたちに抜かれていて、色のある懐紙が重なることによってさらにそのかたちが引き立ちます。

当然、かいしき(食べ物を器に盛るときに下に敷くもの)としてお菓子を上に置いてもよいのですが、何かの折形をもとに素敵な包みができないかとしばらく考えました。
足あとが下降した位置にこないように折りたいと思うとなかなかよい発想にいたらず、結局は当座金子包みを作成いたしました。
また、5.16Ⅱさくらの懐紙については、紙幣外包みを折りましたが、そのさいに花と花びらが奇数の数だけ表に出るようにいたしました。
ただし、両方ともに2枚重ねにすることで厚みがでてしまうので、1枚のほうが好ましい状況もあるでしょう。

さらに考えていくと、もう少しよいアイデアが浮かぶかもしれません。
このように、基本を用いながら、自分の発想で応用できるところも折形の醍醐味であることを感じる機会でもありました。
紙を折ることをこれからも深めながら、その楽しさを皆様にお伝えしてまいりたいと思います。IMG_6980

一日一回

「前回のブログの内容にも関連するから」と、友人から素敵なお話を伺うことができました。

横断歩道を渡るとき、困っている方がいらっしゃらないかと周囲を察するようになった。
すると、足が悪い方、目が不自由な方、赤ちゃんを妊っている方などに気づくことがある。
その気づきによって、「急がなくても大丈夫ですよ」と声がけをしたり、荷物を持って差し上げることができる。
「このようなこころみ、最初は一日一回でもよいのです。それならば、無理をせずにできますから」とも話してくださいました。

IMG_6943何ごとも無理をしすぎないところから始めると、いつのまにか癖のようになって意識せずともできる。
一日一回、他者を慮る機会をつくると、相手の方も自分もここちよくなるはずです。
その小さな取り組みが繋がっていくと、やがては社会全体においても人と人との和が作られて、誰もが穏やかな日常を過ごすことができるようになるのではないでしょうか。

一日一回から始めてみませんか。

しずかな世界

地下鉄の改札口を入り、ホームに向かう途中のことです。
少し離れた前方に杖を使用しながら歩いている目の不自由な男性の方がいらっしゃいました。
エスカレーターに乗ろうとなさった瞬間、ちょうど反対方向から歩いてきた方が駆け寄ってその男性の手首を持たれました。
一瞬、何が起きたのかと思ったら、エスカレーターはホーム行きの下りではなく、反対の上向きだったのです。
駆け寄った方は、その後も優しく男性の手を持って下りエスカレーターまで誘導なさいました。
さらに最後にエスカレーターの手すりにゆっくりと手を置いて安全を確認なさりながら、「お気をつけて」とおっしゃってその場を去られたのです。
わずかな時間でしたが、その光景を拝見し、瞬時の素晴らしい行動に感動するとともに、ふと過日観たテレビドラマの最終回を思い出しました。

耳の不自由な父親と娘の物語です。
娘の名前は「しずか」。
両親ともに耳が不自由、娘は聞こえる。
そのことに両親は、「音のない素晴らしい世界という意味を込めて、しずかと名付けよう」というのが、名前の由来です。
その場面から、耳が不自由なことは障害があってふびんであろう、と思う気持ちは自分中心の身勝手な考えであることを改めて痛感いたしました。
広いこころの視野と思いやりを忘れずに自然な行動が取れる人でありたいものです。

さて、写真はお世話になっている株式会社SL Creationsの佐藤社長から頂戴したことがきっかけで、贈答にも使わせていただいている、おやつの新ブランド『Any O’clock』の商品です。
売り上げの一部は環境、医療、福祉、教育支援団体などに寄付、パッケージデザインはエイブルアート・カンパニーとのコラボレーションで障害をもつ方により描かれたアート作品を使用なさっています。
イラストのみならず、お味もおいしくて素敵なお菓子です。
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こどもから教えられること

5月5日は端午の節供。
こどもの日、というほうが馴染みがあるという方もいらっしゃることでしょう。

こどもの定義は、小学校就学前、あるいは18歳に達する以後の最初の3月31日までの間にある者、などと法律上でも何に関することなのかによって年齢が異なります。
いずれにしても、大きなくくりとしては18歳の成人前をこどもといえるでしょう。

image_6483441さて過日、光英VERITAS中学校・高等学校にて、新入生対象の合同授業をいたしました。
中学1年生は先月まで小学生だったわけですが、男女ともに私からの質問に対してしっかりとした口調で堂々と答えてくださいました。
さらに高校1年生がメモを取りながら真摯な態度で明るい雰囲気を作っていただいたことに感謝しています。

授業後、エレベーターを待っていると、脇を通り過ぎる生徒たちがこちらに視線を向けて立ち止まり「ありがとうございました」と挨拶なさる姿は、見ていて気持ちがよいだけでなく、素直なおこころが届いてきました。
挨拶は何と素敵なコミュニケーションツールであるかをこどもたちが示してくださった機会に深く感謝いたします。

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※写真は、ホテルオークラ京都とThe Okura Tokyoにて撮影した飾りです。

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