そばランチとユニバーサルスタジオ

友人から「おすすめのそば会席のお店で是非ランチをご一緒しませんか」と嬉しいお誘いをいただきました。
ご案内いただかなければわからないひっそりとした場所、風情のあるお店の雰囲気。
お食事を頂戴する前から期待が高まりました。

ユニバーサルスタジオお店のご主人のご実家は、そばボーロの老舗とのこと。
北海道産のそば粉、地元のお野菜、そのほかにも旬の食材が用いられ、見た目にも美しいお料理はどれも趣向に富んでいて、美味しく頂戴いたしました。
店内は満席のにぎわいでしたが、時折、ご主人が席までいらして食材との出会いやお料理の説明をしてくださいました。

そば団子のデザートをいただいている頃に再度、ご主人が席までいらしたのですが、終始、気さくにお話をなさる明るいお人柄がお料理にも表れていました。
「USJ(ユニバーサルスタジオ)の入場料をご存じですか」とご主人から尋ねられ、私たちは答えることができませんでした。
「本日召し上がったランチのお値段と同じなのです。お客様のお財布から出される金額の重みはどちらも同じ。だからこそ、我々もUSJで体験するような感動や喜びをお客様に伝えられるように努めなければならないと考えています」というおことばから、謙虚なお気持ち、さらには仕事に対して真摯に向き合っていらっしゃることへの誇りをお持ちであるとも感じました。

このようなこころがけは、どの分野の仕事にも通じるのではないでしょうか。
常に仕事に対して真摯に取り組み、誇りを持ちながら過ごしていきたいと思います。

阿弥陀如来坐像の目線から感じること

真言宗泉涌寺派総本山泉涌寺の塔頭寺院である即成院ご住職のもとへ久しぶりにご挨拶に伺いました。

阿弥陀座像寛治8年(1094)に造られたという来迎の阿弥陀如来と二十五の菩薩があり、寺伝では恵心(源信)僧都作といわれ、近年は平安時代の代表的仏師、定朝とその弟子による優品とされているそうです。
阿弥陀如来の高さは5.5メートル、二十五菩薩は像高が150センチ。
阿弥陀座像と二十五の菩薩の姿は、極楽浄土の世界を立体的に描いたもので国の重要文化財に指定されています。

IMG_1458「今年は恵心僧都一千年忌ですので、是非、天上台までお上がりください」というご住職からのありがたいおことばで、笹屋伊織女将でいらっしゃる友人の田丸さんとともに写真の高さまで上がる機会を頂戴いたしました。
ちなみに、恵心僧都とは、平安中期の天台宗の僧で浄土教思想の大成者。
ご住職は「阿弥陀如来座像の目線から日頃、お参りする高さを見ることで何かを感じていただければ…」ともいってくださいましたが、穏やかな阿弥陀座像の表情からパワーをいただきながらの景色は、暖かな空気に満たされ、視界が広がったように思います。

駆け足で過ごした一日でしたが、山内の美しい紅葉を愛でることもでき、お世話になった方々に感謝いたします。

皇居の鳥

酉年である今年も、あと一ヶ月ほどで戌年を迎えます。
そこで、今日は鳥に関することに触れてみたいと思います。

山科鳥類研究所が送ってくださる会報誌で、この5年間で皇居内に生息する鳥に関する興味深い記事を拝読いたしました。
江戸時代より植栽と自生した植物によって巨大な緑地の皇居内では1965年より、山科鳥類研究所が中心となって、どのような鳥が生息しているのかを毎月調査なさっているそうです。

2013年から2017年までの間、最も多く観察されたのはヒヨドリ。
続いてハシブトガラス、メジロ、スズメ、シジュウカラと続きます。
このたびの調査とは別に、オオタカとフクロウが繁殖していることが確認されています。

小笠原流の室町時代の古文書には、タカのみならず、キジ、ウズラ、ヒバリ、コウなど、様々な鳥の名が記され、鳥を台に据えて出す心得なども説かれています。

鳥ところで、環境破壊による自然の変化により、生息できなくなった思いもかけない上位種が減って下位種が繁殖しています。
ハト、カラス、ムクドリなどによる農作物の被害、音や糞による被害は後を絶ちませんが、きちんと生ゴミを処分しないなどの人的な要因で鳥害が広がることもあります。

またツバメの糞に悩まされている方もいらっしゃると伺います。
ツバメが家に巣をつくると幸運が訪れる、といわれるような縁起担ぎだけでは済まないことではないかと思います。
ただし、鳥害を嘆くばかりでなく、環境破壊をできるかぎり減らす努力を私たちひとりひとりがこころがけ、自然と共存する努力をしなければならないのではないでしょうか。

古代アンデス文明展

上野の国立科学博物館特別展として古代アンデス文明展が開催されています。

先史時代からインカ帝国滅亡までの約15000年の間には、なんと九つもの文化が栄えたアンデス地域。
文字を持たないなか、アンデスの人々は彫刻や土器を通じて、宗教や様々な世界観を表しました。

レプリカ美しい土器や織物などの模様や装飾品なども素晴らしかったのですが、そのなかでも男女の交差した手のレプリカにも魅せられました。
先土器期後期(前2500年~前1800年)のものですが、向かって左側は男性の手、右側は女性の手。
アンデス特有の二元論(ものごとを相対立する二つの原理、要素に基づいてとらえる立場)を表しているとされますが、なぜ男性は右手を上に重ね、女性はその反対なのか、興味をそそられました。

全てをゆっくり鑑賞する時間がなかったものの、大変貴重な機会でした。
慌しく過ごしてしまいがちなときこそ、美術館や博物館を訪れ、こころをリセットしてみてはいかがでしょう。

最後の一足

「演者は、舞台から揚幕に入る最後の一足を大切にして退場するこころがけが重要」というお話をお能の関係者から伺いました。

このような心得は、小笠原流礼法において重んじている残心に通じますし、日常生活のあらゆる場面でも活用できるのではないかと思います。

お花たとえば、先日あるお店で買い物をし、お店のスタッフの方がドアの外で見送ってくださったときのこと。
お店を出てしばらく歩いてからドアの方へ振り返ると、ちょうどスタッフの方は店内に戻るところでしたが、先程までの明るい表情から笑顔は消え、慌しくドアを開ける姿を拝見し、少々考える機会をいただきました。

礼法では、様々なものを運ぶ、下げる、置く、渡すなどという所作のお稽古もあるのですが、部屋に入室するときだけでなく、退出するときの一足にまでこころを込めて振る舞うことをこれからも伝え続けてまいりたいと思います。

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