ことばから相手のこころを感じる

過日出席したパーティーで頂戴したカードのセットを用い、お世話になった方々に感謝のことばをしたためて、最近お気に入りの切手を貼り投函いたしました。
手紙はカード、便箋、封筒や万年筆などの筆記用具、切手を準備する段階から、こころを表現することができます。

IMG_4490文字をしたためる際には、同じような意味を持ついくつかのことばの中から、どのことばを用いるかによって、大きく印象が異なる可能性もあります。
したがって、手紙を差し上げる相手や状況に応じたことば選びが欠かせません。

さらに忘れてはならないことは、自分の思いを全てことばで表すのは不可能であるということです。
先日、あるテレビ番組に出演されていた方が、最近の若い世代の人は何でもことばで説明してもらおうとする、とおっしゃっていました。
「寂しい」と相手が記してきたとき、「何が寂しいのですか」などと尋ねることはナンセンス。
手紙ならば、文字で記されていない相手の思いを読み取り、こころを交わす。
手紙を送る側、受け取る側、双方に、目に見えることばを超えた、察する力があることで、人間関係が深まるのでしょう。

ことばから相手のこころを読み取り、その一方では自分の思いをことばで伝えることのできる素敵な力を蓄えるように努めてまいりたいと思います。

こころを伝える音の型

昨日2月3日は、毎年恒例の小笠原流礼法宗家本部新春交賀会を都内のホテルにて開催いたしました。
ゲストはピアニストの仲道郁代さん。
仲道さんとは、プライベートで親しくさせていただいていますが、昨日のお話を拝聴し、一層尊敬の念が深まりました。

IMG_4514仲道さんは演奏中にハラハラと涙が溢れてしまうことがおありだそうですが、それは曲に対する感動などということではなく、祈りにも通じるような、こころの動きから成るものとおっしゃっていました。
幼い頃はお部屋を真っ暗にして、お好きな曲のレコードを、ボリュームをあげて聞かれていたとのこと。
レコード針の上の赤く点滅する光以外は何も見えないなかで曲を聴いていると、その曲の先にあるものは何なのだろうか、と目には見えないものを感じていたというお話にも門下の皆様は深く頷かれていました。

さらに、音楽は体系立てられて成り立っているため学問にもなっており、やみくもに音を組み合わせて曲ができるのではない。
型があるからこそ、その基本を守りながら自分の世界を作ることができるというお話は、小笠原流礼法のかたち(作法)があるからこそ時・場所・状況に応じて、さらには相手のこころに応じて臨機応変に行動することができるという真髄に共通いたします。

IMG_4513仲道さんのご講演に続く懇親会では、私からもご挨拶を差しあげました。
今年のテーマは「余韻を残す」。
礼法では最後まで相手に対するこころ、残心を忘れないことが重んじられますが、相手と対面しているときのみならず、相手と別れの挨拶を交わしたあとにまでこころを残す、すなわち余韻を残すことを大切にしていただきたいとお伝えいたしました。
目に見えること、ことばで表現すること、何でも表現することに重きが置かれがちな昨今、相手へのこころ遣いを空気にのせて届けられるよう、余韻を残すゆとりを育みたいものです。
仲道さんのお話は、まさにたくさんの余韻を残してくださいました。

ご体調などを理由に参加できなかった方へも、このたびの新春交賀会の素敵な余韻をお届けできればと存じます。
参加くださった皆様におかれましては、心底より感謝申しあげます。

来年は新たな元号での新春交賀会において、皆様とお目にかかれますことをこころ待ちにしております。

特別授業とパーティー

28日は聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校にて、3月に卒業する中学校3年生と高等学校3年生に向けて、特別授業を行いました。
ブログ高校生には、礼法の授業で学んだことへの感想を伺った後、物の受け渡しなどの復習もいたしました。

相手に物を渡すときは物から同時に両手を離すのではなく、片手ずつ離す理由を尋ねると「利き手を残すほうが危険を防ぐことができる」と答えてくださいました。

中学生には礼法室にて和室の動作をご指導したのですが、まだ学んだことのない方向転換やお茶の出し方も一回の説明で理解し、美しい所作を拝見することができました。
和室また所作の説明をした直後、「そのようにすると丁寧で美しいことがわかりました」と素直なおことばを伺うことができ、大変嬉しく思いました。

その日の夜は、都内のホテルで行われた、お世話になっている出版社の5誌合同による、日本の伝統文化や芸術を守ることを目的としたガラパーティーへ友人をお誘いして出席いたしました。

久しぶりの友人との再会や会場内では門下の方々ともお目にかかれ、楽しい時間を過ごしましたが、そのほかに様々なことを学ぶ機会をいただきました。

当日のドレスコードは、着物またはロングドレス。IMG_4475
したがって、華やかな装いの方々が多くいらっしゃいました。
そのなかで一際印象的だったのは、ある女性の着物姿です。
決して派手ではない着物と帯をあえて選んでいらしたのではないかと拝察いたします。
その理由は、その方がこのたびのパーティに出席された方々をお客様としてお迎えになる可能性があるお仕事をなさっているからです。

シンプルは素敵、改めてそのように感じる瞬間をも頂戴し、深く感謝いたします。

伝書の教えを活かす

小笠原流礼法の教えを日常に活かす。
それこそが、お稽古を重ね、礼法を身につける意義にも通じるように思います。

IMG_4282門下の方へのお稽古中、伝書に記されたことを理想として終わらせてしまうのではなく、どのように実生活に活かしているのかについてをお尋ねしたところ、次のように具体的なお話を伺いました。

ある日、銀行のATMに行ったさい、目の前にお財布が置いてあることに気がついた。
その場を離れて銀行員の方を呼びに行くと、お財布の所在がわからなくなる可能性がある。
だからといって、お財布を手に取ってしまうと、中身を含めてどのような状態で置かれていたかを証明することが難しくなる。
したがって、お財布に視線を向けつつ、手をあげ、さらには声を出して銀行員の方を呼ぶことが好ましいと思い、そのように行動した。

このように現状を判断して先を考えながら行動することができたのは礼法を学んできたおかげです、と伝書の教えを活かした素敵なお話を伺うことができました。
昔も今も、人の行動に関する答えはひとつではないはずです。
常に相手を思い、周囲の状況を把握し、こころを動かして行動する。
これからも、伝書の教えを現代生活に活かしていただけるように努めてまいりたいと思います。

風呂敷の扱い

22日は久しぶりに小笠原伯爵邸のレストランにて、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校後援会礼法部の皆様とのお食事会がございました。
お隣の席の方が「本日、東京駅の書店で購入いたしました」とハンドバッグから新刊の拙書を取り出してくださり感激いたしましたが、その後、表紙の写真にも関する風呂敷の扱い方について質問を頂戴いたしました。

9225437355128相手にお渡しするさいに、風呂敷は結ばずに四辺をかけておくことが望ましいのだろうか。
椅子やテーブルがない場所において、立っている状況で風呂敷に包まれた品物を相手にお渡しする際、どのように風呂敷を扱うことが好ましいのか。
風呂敷に品物を包んだままで差し上げることは考えられるのだろうか。

様々な質問をいただき、それだけ皆様が日頃から礼法に関心を持って過ごされていることを実感する機会でもありました。
風呂敷は塵除けの役割であることを忘れずに、無造作に扱うことは望ましくないですが、丁寧にたたむことで相手を待たせてしまうのは避けたい。
様々な状況を考えながら、皆様にいくつかの差し上げ方についてお伝えいたしました。

またご家庭において、襖の開け閉てや扇子の扱いについてなど、お嬢様が授業で学んだことを一緒に確認する時間を持ってくださっているというお話も伺い、光栄な思いで胸が熱くなりました。
素敵なひとときをご一緒できましたこと、こころより感謝申しあげます。

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