伝書の教えに鑑みると

7日、8日は総師範の方々へのお稽古を行いました。
体調を崩してしばらくお稽古を休んでいた遠方にお住まいの方が久しぶりに参加され、元気なお姿を拝見できたため、いつもにも増して嬉しいひとときでした。

花どちらの会も小笠原流の伝書に関して学んでいるのですが、時間を重ねるほど疑問や興味が膨らんで、有意義な雑談に話が及ぶことも多々あります。
たとえば、方向転換に関しての一節を読んださいのこと。
下座(出入り口に近い側や相手からみて遠い側など)の足を動かす、下座に方向を変えて動作を行うことは、基本ではあるのですが、給仕の係りの人がお膳をさげるさい、上座に回りながら方向を変えて退出するようにと記されている箇所があります。
どの位置に相手が座し、どのようにお膳を引き出し、方向を変え、立って歩き出すのか。
様々な状況を想定しながら考えることは難しくもあり、勉強にもなります。
ただし、もっとも大切なことは素直なこころで読み解こうとする姿勢です。
お稽古中、「素直な気持ちがある人は指導内容を自然に理解してすぐに身につけることができる」ということを皆様が話されていました。

常にものごとを俯瞰して捉え、融通性を持つこと。
伝書の教えに鑑みると、現代生活とは異なる部分もありますが、教えの本質を見極め、指導を行ってまいりたいと思います。
お稽古に通ってくださる総師範の方々、素敵な時間をありがとう存じます。

花びら舞うなかで

今週は20度を上回る日もあるほど、暖かく過ごしやすい日が続いていますが、花粉症でお悩みの方もいらっしゃるのではないかと思います。
さて先日、自宅付近でタクシーを待っていると、幼い女の子がおばあちゃまと手をつないで私の前を通り過ぎていったときのこと。

桜「おばあちゃんは足が悪いから歩くのが遅くてごめんね」
「大丈夫だよ。おばあちゃん足痛くない?痛かったら休もうね」
「◯◯ちゃん、いつも優しくしてくれてありがとう」ということばに、女の子は笑顔でこたえていました。

元気に走り回る時期のお子さんがおばあちゃまをいたわりながら、一歩ずつリズムをとるように歩く姿はあまりに微笑ましくて感動的でした。

都内の桜の多くは散っていますが、かすかに残る花びらは2人の背後で、まるでこの会話を讃えるかのように、優雅にひらひらと舞っていました。

素敵な光景を拝見し、高齢者をいたわる姿は周囲にまで優しい雰囲気を伝えてくれることを実感いたしました。
女の子のような思いやりのこころを誰もが持てますように。

間と安らぎ

講演を終えた翌朝、このたびパリにてお世話になった方々とご一緒にオランジェリー美術館にまいりました。

入館後、まずは「空(くう)の間」と呼ばれる、何も飾られていない真っ白な部屋へ。
サイズ変更モネこころを空にしてから、睡蓮の絵画のある間へと移動。
自然光のなかで見る睡蓮の絵画は、身体中が浄化されるような不思議な力を持ちながら、和らぎと感動を与え続けてくれました。

小笠原の祖母は生前、モネの睡蓮の絵画が大変好きで、晩年もパリまで足を運んでいたほど。何度も話には聞いていましたが、実際にこの目で鑑賞できた喜びはことばになりませんでした。

パリにもお住まいで、私が卒業した母校の先輩でいらっしゃるギャラリー関係者の方がモネの生き方や作品への取り組み方など、実にわかりやすく教えてくださいました。
白内障を患い、目が不自由になっても、モネの絵画はこころの目で描かれたものであったからこそ、時代を超えて人々に感動を与え続けられるのでしょう。

IMG_2474モネから改めて教えられた「間」が生み出すゆとりと安らぎ。
パリには素敵な美術館が多くありますが、次回、パリを訪れるさいにもオランジェリー美術館には必ずまいりたいと思っています。

今回のパリ滞在を通して、人のこころの温かさに触れ、これから歩むべき道までも示されたように感じています。
皆様から頂戴したおこころ遣いや感動を少しでもお返しできるよう、こころの研鑽と小笠原礼法の普及に精一杯努めてまいります。

折形から紐解く日本人のこころとかたち

3月23日、パリのエッフェル塔近くにある日本文化会館にて「折形から紐解く日本人のこころとかたち」というテーマで講演をいたしました。
このたびは、在フランス日本大使館と小笠原流礼法宗家本部共催という名誉な機会をいただき、笹川日仏財団のご協力もあって講演を実現することが叶ったのです。

折形2講演への参加申し込みは日本文化会館のホームページで行われましたが、なんと告知当日に満席になったと現地よりご連絡をいただき、嬉しさと一層身を引き締めて臨まなければという思いを抱きながら出発の日を迎えました。

当日は、始めに日本文化会館の杉浦館長、さらには光栄なことに樋口公使からおことばを頂戴し、いよいよ講演開始。
礼儀作法にはまず、相手を大切に思うこころが不可欠。
こころがあるからこそ、かたち、すなわち作法には臨機応変さが求められる。
ゆえに作法を省略することが礼に叶う場合もある。
その相手へのこころをかたちに表現する一つが折形。
たとえば一折ごとにこころが込められ、水引の結び目にはこころが表される…といった流れで、半ばには参加者全員で懐紙を使用して折形の作成過程を実践しました。

講演後半の質疑応答は、何名もの方が意欲的に手を挙げてくださり、90分の講演は無事に終了。
続くレセプション会場に移動する前にも驚くほど質問にいらっしゃる方が多く、日本ではなかなかできない体験でした。
レセプションでは、日本に礼法を学びに行きたい、という嬉しいおことばも頂戴し、終了予定時刻をかなり過ぎても参加者同士の交流が行われていました。

遅くまでお世話になった日本大使館や日本文化会館の方々、門下の方々、その他関係者の皆様には、感謝のことばが見つかりません。
こころより御礼申しあげます。
講演に参加くださった皆様からいただいた感激は、生涯忘れることはないでしょう。

パリで過ごした時間と皆様とのこころの交流があまりに素敵でしたので、次回のブログもパリでのひとときをご紹介したいと思います。

語学力を磨く

過日、お世話になっている方から「是非ご紹介したいご夫妻がいらっしゃるのですが・・・」とご連絡をいただき、お食事をご一緒することとなりました。

シンガポールシンガポールを拠点に欧米などでも活躍されているご夫妻なのですが、お会いするや否や、「ひとつはシンガポールのおみやげ、もうひとつは私たちがパリで気に入っているお店のスイーツを東京で見つけたので是非召し上がってください」とおみやげを頂戴いたしました。
写真のクッションカバーがシンガポールのおみやげです。
特別な才能を持った自閉症の方々による、ヴィジュアルアートやクラフト作品を展示販売しているThe Art Faculty by Pathlightのものですが、明るい色調で素敵なデザインです。

お食事中の会話の話題は多岐にわたりました。
「私たちは日本が大好きです。日本人は他国の人々にも優しく、細やかな配慮がある。もっと日本人の語学力が向上し、海外で学ぶ人が増えれば世界中に友人ができる。それがその人自身、さらには日本の宝となり、国際社会で多くの日本人が活躍できるきっかけとなることは間違いありません」というご夫妻のお話を伺い、若い頃、真剣に語学を学ぶべきであったと反省するばかり。

ご自身の生き方そのものが素敵なご夫妻の姿を拝見でき、こころが引き締まりました。
記憶力は低下の一途をたどるばかりですが、諦める前に、今年は語学力を少しでも高められるように努める所存です。

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