伝書の教えを活かす

小笠原流礼法の教えを日常に活かす。
それこそが、お稽古を重ね、礼法を身につける意義にも通じるように思います。

IMG_4282門下の方へのお稽古中、伝書に記されたことを理想として終わらせてしまうのではなく、どのように実生活に活かしているのかについてをお尋ねしたところ、次のように具体的なお話を伺いました。

ある日、銀行のATMに行ったさい、目の前にお財布が置いてあることに気がついた。
その場を離れて銀行員の方を呼びに行くと、お財布の所在がわからなくなる可能性がある。
だからといって、お財布を手に取ってしまうと、中身を含めてどのような状態で置かれていたかを証明することが難しくなる。
したがって、お財布に視線を向けつつ、手をあげ、さらには声を出して銀行員の方を呼ぶことが好ましいと思い、そのように行動した。

このように現状を判断して先を考えながら行動することができたのは礼法を学んできたおかげです、と伝書の教えを活かした素敵なお話を伺うことができました。
昔も今も、人の行動に関する答えはひとつではないはずです。
常に相手を思い、周囲の状況を把握し、こころを動かして行動する。
これからも、伝書の教えを現代生活に活かしていただけるように努めてまいりたいと思います。

風呂敷の扱い

22日は久しぶりに小笠原伯爵邸のレストランにて、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校後援会礼法部の皆様とのお食事会がございました。
お隣の席の方が「本日、東京駅の書店で購入いたしました」とハンドバッグから新刊の拙書を取り出してくださり感激いたしましたが、その後、表紙の写真にも関する風呂敷の扱い方について質問を頂戴いたしました。

9225437355128相手にお渡しするさいに、風呂敷は結ばずに四辺をかけておくことが望ましいのだろうか。
椅子やテーブルがない場所において、立っている状況で風呂敷に包まれた品物を相手にお渡しする際、どのように風呂敷を扱うことが好ましいのか。
風呂敷に品物を包んだままで差し上げることは考えられるのだろうか。

様々な質問をいただき、それだけ皆様が日頃から礼法に関心を持って過ごされていることを実感する機会でもありました。
風呂敷は塵除けの役割であることを忘れずに、無造作に扱うことは望ましくないですが、丁寧にたたむことで相手を待たせてしまうのは避けたい。
様々な状況を考えながら、皆様にいくつかの差し上げ方についてお伝えいたしました。

またご家庭において、襖の開け閉てや扇子の扱いについてなど、お嬢様が授業で学んだことを一緒に確認する時間を持ってくださっているというお話も伺い、光栄な思いで胸が熱くなりました。
素敵なひとときをご一緒できましたこと、こころより感謝申しあげます。

鈴の音

ある場所で水仙の香りに引き寄せられながら、三方の上に飾られた鈴が目にとまりました。

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鈴といえば、神社の拝殿の中央には、五色や紅白の布などが垂らしてある鈴が吊るしてあり、おまいりのさいにこの鈴を鳴らしたことがあるという方も多いでしょう。
鈴の音は参拝者を祓い清めるだけでなく、神霊の発動を願うものともいわれます。
また、御神楽で巫女の方が舞ってくださるときにも、神楽鈴と呼ばれる鈴は欠かせません。
この鈴は、もとは神憑りの意味合いが強かったそうですが、舞の後の参拝者への鈴振りは、祓い清めとして行われます。
さて、神楽舞に用いられる鈴は、下から7個、5個、3個と三段につけられていて、七五三鈴と呼ばれることもあるそうです。

ところで水仙は春を呼ぶともいわれ、鈴は私たちを清めてくれるもの。
素敵なしつらえを拝見し、こころが安らぎました。
皆様におかれましては、今週もお健やかにお過ごしくださいませ。

外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法

小正月も過ぎ、街では2月の節分に用いる福豆(豆まきに用いる炒った大豆)や鬼のお面などを目にするようになりました。
本日は、拙書のご紹介をさせていただきますことをご容赦ください。

帯あり(web用)外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法外国人の方から日本の文化について尋ねられたとき、気持ちにゆとりと誇りを持って答えていただきたい。
日本人の方には、先人たちが育み、伝承してきた私たちのかけがえのない文化への興味を失うことなく、むしろ活用して、より豊かな日常を過ごされるきっかけを作っていただくことはできないのだろうか。

このような思いを抱きながら執筆を終え、「外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法」というタイトルで、光文社新書より上梓いたしました。
上梓に至るまでお力添えをいただきました方々には、心底より感謝申しあげます。

本書の中では、神道と仏教の結びつき、もてなしとは何か、食事に関する心得など、作法の根底にある理由を含めてご紹介しています。

誠に恐縮ではございますが、書店で手に取っていただくことが叶いましたら幸甚に存じます。
インフルエンザにかかった友人知人が増えてまいりました。
皆様、手洗いをしっかりとなさり、身体を温めてお過ごしください。

贈り物に添える季節感

門下の方より、贈り物をいただきました。
包み紙を外し、箱を開けてみると健康を維持するための食品が入っており、それだけでも嬉しかったのですが、さらに贈り物に添えられている季節感に喜びを感じました。

IMG_4318縁紅で折られた草木の根包み。
日常の贈答品には、もろわな結び(蝶結び)を結びます。
しかし、このたび頂戴した根包みには、あわび結び(結び目がほどけにくい)が用いられています。
恐らく、年頭の贈答ということで、これからの一年、難なく健やかに過ごせるようにとのお気持ちを表してくださったのではないかと思います。あるいは、初心に帰り新たな気持ちでお稽古に望む覚悟の表れでもあるのかもしれません。

結び目のみならず、包みの中に松と南天が包まれていたことにも感謝するばかりです。
松は神木で長寿につながり、南天は「難を転ずる」に通じ厄を祓う、どちらも縁起物といわれています。
ちなみに、南天がお赤飯に添えられるのは、南天に腐敗を防ぐ成分もあるからです。

また水引は通常5本で使用しますが、写真のようにいただいたものは2本です。
2は偶数ですが、「紅白2本で一対」と考えれば、それも間違いではありません。
おおげさにならず、季節感を添えたいというおこころが届いてまいりました。

基本を学び、しっかりと身につけたうえで、それぞれの個性をのせ、楽しみながら相手にこころを届ける。
門下の方が学んだことを実践する姿を拝見できるのは、このうえない喜びでもあります。
小笠原流礼法を学んでいる皆様、ときには厳しく、ときには楽しく、学んだことを実生活に役立ててまいりましょう。

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