能とビジネス

久しぶりにある会に出席し、皆様のご意見を拝聴する貴重な機会をいただきました。
この会については以前にも触れていますが、ディナーをご一緒するだけでなく、主催者の方からお題を頂戴して同じテーブルの方々と話し合います。

先日のお題は、伝統芸能、特に能とビジネスについて。
今までに、風姿花伝などから世阿弥の残した教えを現代のビジネスに活かしていらっしゃるというお声を何人もの経営者の方々から伺ったことがあります。

花「秘する花を知ること。秘すれば花なり 秘せずば花なるべからず となり」

これは風姿花伝の一節です。
すべてをあからさまにしては、人の感動を得ることはできません。
予期させない部分があるからこそ、相手のこころを動かすことができるのです。
意図的に自分をつくることはいかがなものかと思いますが、相手の意外な一面が見えることで、親近感や好感を覚えることがあります。
仕事、プライベート、どちらもなれ合いにならず、目に立たない努力によって、人間関係にも好ましい作用が生まれることがあるのではないでしょうか。

「似せんと思ふ心なし」

この世阿弥のことばは、小笠原流礼法を学ぶさいにも共通します。
かたち、すなわち作法を身につけるときに、最初は見よう見まねで様々な動作を練習します。
それがある時点から、真似ではなくて意識しなくても自然に行えるようになるのです。

世阿弥は、父である観阿弥から聞いたことばを見事にまとめ、今でもたくさんの感動を私たちに与えてくれます。
名プロデューサーともいわれる世阿弥ですが、自身を磨き、相手や時代が求めることを察し、工夫して表現し続ける重要性を改めて考えるひとときでした。
皆様の素敵なご意見を伺うことができ、深く感謝いたします。

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