天使の分け前

ある海外の宝飾ブランド店にて、「愛」をテーマに能とバイオリンの素晴らしい共演を拝見いたしました。

店舗内は限られた空間にもかかわらず、響き渡る艶やかで美しいバイオリンの音色にのせて、振り上げられる装束の袖や能面の奥からは情熱までも感じられる幽玄な世界。
特に日頃、能は舞台の下から拝見いたしますが、このたびは目の前で舞を拝見し、その迫力に圧倒されました。

興奮冷めやらぬうちに、何人かの方とレストランへと移動してお食事をしたのですが、その席で初めて知ることばの表現に出会うことができました。
そのお店に飾られていた年代物のウィスキーのボトルは、ご一緒だった方のものだったのですが、その方から
「30年前にすでに50年もののウィスキーだから、今は年期が入ってかなりお酒が蒸発してしまっている」というご説明がありました。
すると同席されていた外国人の方が、
「Angel’s share!」
と和やかにおっしゃったのです。
Angel`s share樽は呼吸するともいわれますが、蒸留酒は仕込んでいる間に空気などを取り込みながら放出するために、仕込んだときよりも量が減ります。
これをAngel’s share、すなわち天使の分け前と呼ぶそうです。
何と素敵な表現でしょう。
このお話から場の雰囲気が明るくなり、皆様とのご縁にも感謝する素晴らしい時間を過ごすことができました。

このページの先頭へ