古文書から学ぶこと

先週、小笠原流礼法宗家本部直営教室にて、夕方と夜、2クラスの指導をいたしました。
どちらのクラスとも、師範をすでに取得している方々で、さらに指導者を目指して受講されています。
今期最後の講義だったので、主に古文書と動作の復習を行いましたが、各自の考えや思いを伺うことができ、私自身、大変勉強になりました。

古文書は繰り返し読むことで、記されている文字の意味だけでなく、全体の文章から何を最も伝えたいのか、というポイントを読み取ることができます。
そのポイントを柱に、各自のこころで思っていることを重ね、日常生活に落とし込んで考える楽しさもあります。
そこで、全員の方に、古文書の中で最も印象深く残っている箇所、または日頃の生活に取り込んでいる教えについて伺いました。
たとえば、席次に関するエピソードが最も印象深く、その箇所から日頃のビジネスシーンにおいて好ましい席次を定める難しさや自然に振る舞うことを考えさせられる機会が多い、という意見がありました。

古文書ある宴席でのこと。
高い立場の方が遅れて参加したのですが、すでに互いの身分によって周囲は席についていたため、どなたも遅れてきた方に席をすすめることがありませんでした。
そこで遅れてきた方の表情が曇ってしまったのです。
そのとき、別の高い立場の方が自分の席を一度立ち、その後、席へと戻る途中、遅れてきた方の側に座り、しばらく雑談をしていると、周囲は自然と立ち上がり、高い立場の方々が座っている位置を上座として本来あるべく席次に仕切りなおされた、というエピソードです。

上司と部下が集まる席、お客様を招く席、どの位置を上座とするのかについて、知識だけでは決定できないこともあります。
あるいは、上司の席を空けておくことを失念し、上司が遅れて宴席に参加した場合などは、自然に、しかも速やかに行動をおこすことが社会人として必要な心得といえましょう。

後半は和室での動作の復習を行いましたが、バランスのとれた、流れのある動作を日々、こころがけることの大切さについてお伝えいたしました。

何年も教室に通ってきてくださる皆様、このたびも素晴らしい時間をありがとう存じます。
来期、またお目にかかれますことを楽しみにしております。

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