向かって

当たり前のことですが、「向かって左」とは向かい合っている人や物の左右について、自分から見て左側を指します。
対面する人がいる場合、相手からすると右側ということです。

この「向かって」ということばによって、左右は明確に説明されます。
というのは、小笠原流の古文書には、単に「左」「右」としか記されていないので、礼法の知識が備わっていないと、相手から見る場合の左または右なのか、自分から見る場合の左または右なのかが混乱しやすいのです。
たとえば床の間に三幅の掛け軸があり、それらを拝見するときは

中を見 さて左を見て その後右を見べし831お花

との教えがあります。
中央、向かって右、向かって左の順で拝見するということです。
昔は「向かって」という概念がなかったので、そのような表現で説明されることがなかったと聞きます。
基本は対面する側から考える、この場合であれば自分が床の間の側にいるつもりで左右を読み取っていたということです。

その他にも、古文書にはすべてをことばで説明していない箇所が多くあります。
古文書にかぎらず、日常生活において、状況を読み取る力を養いたいものです。

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