分け

めしを膳へ分け候ことは本式にはなく候えども…

と伝書に記されています。
「分け」とは残すこと。
公の場でなければ食べ残してもよい、とも記されているのですが、出された食事を残さずにいただくようにと思う気持ちは大切です。
なぜなら、食事は自然の恵みと食材の命を頂戴する。
すなわち、食材を粗末に扱わないというこころがけが重要なのです。

一口ご飯さて、昔は一般の家庭において「ご飯は一口残すもの」といわれることが多いものでした。
一口残すことはまだ食事が終わっていないことを示し、ゆえに給仕をする側からは「おかわりはいかがですか」と尋ねる。
「おかわりをお願いいたします」と伝えなくても、一口残すことで、おかわりをお願いしたい気持ちを無言で表しました。
また一口残すことが相手との縁をつなぐ、ともいわれていたようです。

先代は、このような意味を知らない人が多くなるなか、かたちだけ一口残すことは必要ない、と申していました。
知っていることを目に立たせることのほうが、周囲に失礼にあたるからです。
したがって、日常の食事の席においては、あえて一口残すことをしなくてもよいでしょう。

アレルギーや体調が理由で食事を残さざるを得ない場合は無理をする必要はありませんが、特に招かれた席においては、前述のように、感謝の気持ちを持って残さないことをこころがけることも大切ではないかと思います。

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