不精

すずらん不精ということばを用いる人が以前と比べて少なくなったように思います。
一方、不精ではないかと思える行動をとる人は増えているのではないでしょうか。

不精とは、文字が表す通り、精を出さずになまけること。
身体を動かすことを面倒に思うこと。

先代から、不精にまつわる例として、ある料理番組についての話を聞いたことがあります。
「水仕事をするときは、身支度を整えてからすると気持ちがよい。たすきがけをせず、袖をぬらさないようにと手先で行うことは不精で嫌なものです」というテレビの料理番組で指導する女性の方は、若いアシスタントの方に対してこのようにお伝えになり、お料理の紹介の前にたすきのかけ方について指導なさっていたそうです。

準備にも労をいとわないこころがけは、日本人が本来持っているはずの気質ではないかと思いますが、手順や配慮があるからこそ、作り出される美が存在するのではないでしょうか。
たとえば、お客様にお茶を運ぶときの心得。
お茶の入ったお茶碗とお茶托はどのように相手に運ぶことが好ましいのでしょうか。

お茶碗になみなみお茶を注いでしまったら、運んでいる間にお茶がこぼれてしまうかもしれない。
お茶がこぼれてしまったときのことを考えて、ふきんもお盆にのせておく。
下座側からお茶を差し上げることが望ましいが、お客様に危険が及ぶことがないようにと考えて行動することも大切。

このように、一杯のお茶をお出しするときにも、あらゆる観点から失礼がないようにとこころを働かせることが大切であり、ひとつでも不精してしまうと相手に危険が及ぶことがあるかもしれないのです。

便利な時代だからこそ、不精せずに行動したいものです。

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