日本らしさ

日本料理を研究され、日本文化に関する学識が深い方とお目にかかる機会を頂戴いたしました。

古文書小笠原流の古文書を見ていても思うのですが、味覚に関する記述は日本の古文書に極めて少ないそうです。
またハレの日とケの日があることも、食文化の発展に大きな影響を及ぼしたということ。
私たちは塩と水以外、食事を通して、あらゆる生命をいただきながら生きているというお話を伺い、日本料理に関しても感謝の念が欠かせないことを痛感いたしました。
そのような背景があったからこそ、あらゆるしきたりや行事がつくられてきたのでしょう。

さて、先日の交賀会において室瀬先生のお話にもあった「日本らしさ」。
日本人の白か黒かとはっきりさせないあいまいさ、すなわち日本らしさが料理の分野においても技術や文化を発展させることに繋がったのではないでしょうか。
現代は何事においても、はっきりとした科学的な根拠を求めがちですが、目に見えない部分を重んじる融通性を日本人は持ち続けることを忘れてはならないと思えてなりません。

自然の摂理に従い、体験や感性で生まれる知恵や発想を重ねながら、相手や周囲の方々との人間関係を円滑に、豊かにするために守り、伝えられてきた礼法。
礼法に関するあらゆる事柄について、研ぎ澄まして深いところまで理解しようとする努力を怠ってはならないことを再認識する場でもありました。
美味しいお食事を楽しむだけでなく、食に関する歴史や知識を学ぶ楽しみをも気づかせてくださったこのたびの機会に感謝いたします。

伝承と伝統

交賀会2017昨日は小笠原流礼法宗家本部主催の新春交賀会を都内のホテルにて行いました。
毎年2月初旬頃、ゲストをお招きして門下の方々とともにお話を拝聴し、その後は昼食をとりながら懇親を深めています。

今年のゲストは漆芸家、重要無形文化財保持者でいらっしゃる室瀬和美先生。
室瀬先生とはいくつかの会やサロンなどでご一緒する機会も多く、以前から交賀会においてご講話を頂戴したいと思っていました。

漆という漢字は木を切ると水が出ると書く、日本で出土した最古の漆は9000年以上前のものである、など様々な観点から説明してくださいました。
正倉院にある金銀鈿荘唐大刀の細工は、現代においても大変難しいとされている漆の技法が用いられていることを伺い、各テーブルに座る皆様は目を輝かせて聞いていらっしゃいました。

さらに私たちの胸に深く響いたことは、伝承と伝統について。
伝承とは、かたちを変えずに伝えること。
伝統とは、かたちを変えて伝えること。
「漆器を見て、鎌倉時代のもの、室町時代のもの・・・と各時代がわかるのは、その時代に求められたデザインが存在するからである。200年後に私の漆器を見る人が、これは平成のデザイン、といってもらえるものを今、作っているのです。それこそが伝統です」というお話に誰もがうなずいていました。

礼法における伝統とは、室町時代から続く作法というかたちを伝承しながら、その根底にあるこころをその時代や状況に応じて表現すること。
室瀬先生のおことばから、基本となる知識や振る舞いを学び、自然で美しい振る舞いを臨機応変に行うことを目指す我々にとって、感動や勇気をいただいたお話に感謝するばかりです。

また懇親会の途中、ある方からの「漆芸家として独り立ちできるまで、どのくらいの期間が必要ですか」という質問に、「技法を身につけるまでに10年、一人の漆芸家として活動が始められるまでには少なくともさらに10年」と室瀬先生が答えてくださいました。
宗家を継いで21年目を迎える私自身、ようやく独り立ちできる程度の年月しか経過していないこと、ゆえに今まで以上に研鑽を積む覚悟が必要であること、これから実現させていきたいことなど、あらゆる思いが頭の中を駆け巡りました。

今年も門下の皆様が一同に会してくださり、たくさんの笑顔に接することのできた幸せなひとときに心底より御礼申しあげます。

雑談の大切さ

門弟を指導する立場にある師範とのお稽古で「礼法の指導に雑談は欠かせない」という話題で盛り上がりました。
礼法の教室や授業などでは、それぞれのレベルに応じてカリキュラムがあるのですが、指導するべき内容から少し外れて話をするとき、人は新鮮な気持ちで話を聞き、興味を持つ場合があります。

私自身、先代の古文書のお稽古の最中、記された内容の説明以外に、小笠原家に伝わる慣習やことば遣い、茶道や香道などの伝統文化に関する知識、幼少の頃の思い出など、雑談からあらゆることを学んだように思います。

雑談せずにはいられない礼法に限らず、日常生活においても、雑談があるからこそ、相手の人柄や趣味嗜好が理解でき、人間関係が深まるということが多々あるでしょう。
この写真は先日の会食でいただいたデザートなのですが、あまりのかわいらしさに雑談をせずにはいられませんでした(笑)

ビジネスシーンにおいても、雑談で場の雰囲気が和み、コミュンケーションを円滑にすることができるのではないでしょうか。
雑談は意味がない、ということはないのです。
雑談で相手の考え方を理解することもできます。
雑談で様々なことを伝えられる指導を、私も志したいと思います。

パスタ

毎年、この時期に行う聖徳大学附属女子中学校高等学校と聖徳大学附属取手聖徳女子中学校高等学校、それぞれの後援会礼法部に所属するお母様方との食事作法講習会。
今年は、会場となったお店は異なるのですが、両校ともにイタリア料理店にて食事をしながらの講習となりました。

前菜に続いてのパスタが出されたさい、ひとりのお母様から「パスタをいただくときはスプーンを用いてよいのですか」と質問がありました。
最初からテーブルにスプーンが並べられているのでしたら、使ってよいですし、イタリアでもパスタのソースをいただくためにスプーンが提供される場合もあります。
一方、スプーンがテーブル上に置いていない場合、基本はフォークのみでいただくと心得ておくとよいでしょう。
聖徳秋山お食事会 2017ただし、着物をお召しのさいなど、フォークだけでは召し上がりにくいと思われる場合はこの限りではありません。
以前、イタリアに住んでいた友人からは、パスタをフォークとナイフで切って食べている人が多かったと聞いたこともあります。

取手お食事会
料理のジャンルを問わず、食事の作法に関して最も大切なことは、楽しく会話をすすめ、同席者の食事のペースにあわせて料理をいただくこと。
今年の講習会も皆様とご一緒できたことを深く感謝する素敵なひとときでした。

節目を分ける

節分の豆明日、2月3日は節分。
毎年、この時期には節分に触れていますが、今年も改めて節分についてご紹介したいと思います。

文字が表しているように、季節の節目を分ける、ということ。
現代において、節分と聞くと2月3日を思い浮かべられると思いますが、本来の節分は立春だけでなく、立夏、立秋、立冬、それぞれの前日を指します。
つまり、節分は年4回あるわけです。

平安時代から始まったとされる宮中の追儺の行事。
その行事が次第に豆で鬼を追い払う、邪気を祓う行事へと変化した、と考えられています。

柊鰯と呼ばれる、焼いた鰯の頭を柊の枝に指したものを門や玄関に飾っておくことも節分の風習のひとつ。
焼いた鰯の臭いを鬼は好まず、柊のとげで目を刺してしまうので鬼は家内に入ることが難しい、という理由から柊鰯で鬼を追い払うことができる。
海外でも柊は魔除けとして用いられ、鬼門には南天とともに柊が植えられていました。

ところで先日、ある洋菓子店に行ったさい、「ロールケーキの恵方巻き」というケーキを発見!
恵方巻きを食べるなど、行事を楽しむと同時に、季節の節目を大切にする気持ちも守り伝えていきたいものです。

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