御事始めと御事納め

381109_s12月8日は、御事始め、あるいは御事納めの日。
陰暦12月8日と、2月8日に行なわれた年中行事です。
主に東日本に行なわれ、一方を御事始め、一方を御事納めとします。
つまり、正月を中心にして12月8日を御事始め、2月8日を御事納めと呼ぶ。
あるいは年間の農作業を中心に、2月8日を御事始め、12月8日を御事納めと呼ぶところもあります。
「こと」については、年間の農耕儀礼、あるいは正月祭の意味にも考えられています。
目籠を竿につけて軒に立てる、または汁を食べることもあります。

この日は、針供養とも結びついています。
針供養とは、針の使用を忌んで裁縫を休み、その年の折れ針・古針を豆腐やこんにゃく、あるいは餅などに刺して近くの社寺に納めて祓う、または供養する行事です。
紙に包んで川へ流すこともあります。
事八日の日は忌日とされていたことから、針仕事を休む日と考えられたことがわかります。

25301781_s現代においては、裁縫に用いる針だけでなく、長きに渡って大切にしてきたものに感謝する日と捉えてはいかがかと思います。
たとえば、そろそろ買い換えようかと思っている長年使用しているペン、ずっと大切にしていた人形なども考えられるでしょう。

年中行事は、日頃の生活に感謝の念を育むことのできる日が多くあります。
皆様は本日、何に感謝なさいますか。

日本人らしさとは

IMG_8640過日、スリランカの紅茶のお店でカレーもいただけると聞いて友人と訪れてみました。
レジには日本人の女性スタッフ、料理を作り紅茶を入れてくださるのはスリランカの方と思われる男性スタッフがお一人いらっしゃいました。
バナナの葉で包まれたカレー、ピリ辛チキンをパンに挟んだもの、セイロンティーをオーダーしました。
「お待たせして申し訳ありません」「あと少しでできます」「是非またいらしてください」「ご来店ありがとうございました」と、何度も笑顔でことばをかけてくださったのは全て外国人男性でした。
お店を出てからすぐに「外国人スタッフの方のほうが日本人らしい接客だったわね」という友人のことばに、私も同じような印象を抱いていました。

その数日後、出張の移動で乗車した新幹線の中でのことです。
同じ列で通路挟んで向こう側、窓側の席に日本人男性が座っていらっしゃいました。
そこへ、外国人の年配の方が「こちらの席なのですが、隣に座ってもよいですか」と話しかけられると、日本人男性は美しい発音の英語で「もちろんお座りください」と優しくこたえられました。
その後も、お二人はしばらくお話を続けていらしたのですが、知らない人同士が隣の席に座ることをきっかけに会話が生まれるとは、何と素敵なことでしょう。
そのとき、ふと前述のスリランカ料理店で感じたことを思い出し、日本人同士だった場合には隣の席に座るときにこうしたことばをかけるのだろうか、という疑問が浮かびました。

先代が一子相伝の封印を解き、惣領家に伝わる小笠原流礼法を多くの方にお伝えしたいと思ったきっかけは戦後、日本人が本来持っているはずの思いやり、すなわち他者を大切に思うこころが薄らいできたことであったと聞いています。
その後、現時点に至るまで、日本人の他者を思う気持ちはどのように変化してきているでしょうか。

さて、11月20日に開幕したFIFAワールドカップ・カタール2022において、日本代表の躍進に勇気や感動をいただいていますが、日本サポーターのゴミ拾いする姿も話題になっています。
思いやりを含め、このたびをきっかけに改めて「日本人らしさとは何か」について深く考えてみたいと思います。

ところで、出張の折に訪れたホテルのロビーで、鮮やかなクリスマスの飾りを拝見することができました。
すでに12月となり、今年も残すところあと一ヶ月を切りましたが、皆様におかれましては体調に気をつけてお過ごしください。
IMG_8651IMG_8652

続けることこそ

IMG_8630新型コロナウィルス感染拡大の影響により延期されていた、仲道郁代さんの令和3年度文化庁芸術祭大賞・令和3年度文化庁長官表彰祝賀会に出席させていただきました。

仲道さんは、ピアニストとして活躍なさるだけでなく、後進の育成にも努められ、2012年からは東日本大震災で被災した宮城県七ヶ浜町の復興支援事業として小学生を対象に音楽アウトリーチを続けていらっしゃいます。

仲道さんの素晴らしいピアノ演奏で祝賀会は始まり、何人かの方々によるご祝辞はいずれも温かく、楽しく、思わず会場全体が笑顔になるようなお話ばかりでした。

例えばある方が「仲道さんの音色からはこころが感じられる」とおっしゃると、皆様が深く頷いていらっしゃいました。
またある方は「何もしないで才能など存在しません。長きに渡って続けることこそが才能なのです。続けるにはそのことを好きになるのも必要です」というお話も胸に深く響きました。
日頃よりお世話になっている方々とお会いでき、さらには同じテーブルの方々との新たなご縁をいただくなど、感謝するばかりです。
仲道さんの優しいお人柄が細部にまで感じられる、本当に素敵な祝賀会でした。

頂戴した記念品は「Arietta」という名のワイン。
ベートーヴェンの最後のソナタ、第32番作品111の第2楽章「Arietta. Adagio motto simplicity e cantabile」からインスピレーションを得て作られたワインです。
IMG_8634仲道さんがこのワインに出会ったのは、10代の頃に留学なさっていたアメリカのミシガン州へ2018年の夏にいらした時とのことです。
2018年の春から「The Road to 2027」という、ベートーヴェン没後200年とご自身の演奏活動40周年が重なる2027年に向けて、10年にも及ぶリサイタル・シリーズに取り組まれていらっしゃいます。
まさに「Arietta」の世界こそ、仲道さんがこのリサイタル・シリーズでベートーヴェンと共に歩んでいる旅路の目指すところを象徴している、ともワインに添えられた書状に記されていました。

仲道さん、ますますのご活躍を心底よりお祈りいたします。

どんぐり

25036901_sお知り合いの方が持っていらした、どんぐりの描かれているカードを拝見したことより、今日はどんぐりについて記したいと思います。
どんぐりは、早いものは9月、遅いものは1月頃までどんぐり拾いが楽しめます。

どんぐりの語源については諸説あります。
独楽(こま)にして遊んだことから、独楽の古名「つむぐり」の変化という説があり、「つむ」は回転することを意味します。
ほかにも、「とちぐり(橡栗)」の変化とする説、「だんぐり(団栗)」の意からとする説なども存在します。

ヨーロッパにおいて、どんぐりは縁起のよいものとして考えられてきました。
そのような理由で、友人がシルバー製のチャームを身につけていると聞いたことがあります。

25336036_sGreat oaks from little acorns grow.
樫の大木も小さなどんぐりから育つ、すなわち大きなことも、もとは小さなことから始まる、という意味のことわざもあります。

このような素敵なことわざを持つどんぐりのように、新たな年の目標に向かって小さな準備を始め、少しずつでも前進できるように努力を重ねてまいりたいと思います。

礼法とは

IMG_4754今週、光英VERITAS高等学校3年生に向けての特別授業として、私より講義をいたしました。
毎年「印象に残った授業は何ですか」という質問に、浴衣の着付けが一番人気があります。
実際、授業で身につけた着付けを自宅でも試してみた、という方もたくさんいらっしゃいました。
「学校に入学する前から礼法の授業に興味があり、入試の面接に活かすこともでき、実際にたくさんのことを学べてよかったです」というお声を伺うこともできました。
また、「礼法を知らない人から、礼法とは何ですか、と聞かれたらどのように説明しますか」という問いにも、真摯な態度で考えながら答えてくださいました。
例えば、「相手の人の気持ちを考えて行動すること」「他者への思いやり」などという意見が出ました。
さらに、「親戚の人から玄関の上がり方が綺麗といわれた」「所作が美しいと褒められたことがある」など、実生活の中で好印象を与えることができた喜びを語ってくださる方のお話を、頷きながら聞く他の生徒の方もいらしたことが嬉しい限りでした。
IMG_4745これからの人生において、乗り越えなければならない困難が目の前に立ちはだかることもあるでしょう。
そのような時にも、こころにゆとりを忘れることなく、
未来を目指して困難を乗り越え、歩んで行っていただきたい。
卒業式でお渡しする許状は今まで礼法を学んできた証であり、ご自分の自信の一つとして持ち続けていただきたい、ともお伝えいたしました。
来年3月、さらに成長なさった卒業生のお姿を拝見することを楽しみにしています。
お世話になった先生、事務の方々に深く感謝申しあげます。

このページの先頭へ