皇居の鳥

酉年である今年も、あと一ヶ月ほどで戌年を迎えます。
そこで、今日は鳥に関することに触れてみたいと思います。

山科鳥類研究所が送ってくださる会報誌で、この5年間で皇居内に生息する鳥に関する興味深い記事を拝読いたしました。
江戸時代より植栽と自生した植物によって巨大な緑地の皇居内では1965年より、山科鳥類研究所が中心となって、どのような鳥が生息しているのかを毎月調査なさっているそうです。

2013年から2017年までの間、最も多く観察されたのはヒヨドリ。
続いてハシブトガラス、メジロ、スズメ、シジュウカラと続きます。
このたびの調査とは別に、オオタカとフクロウが繁殖していることが確認されています。

小笠原流の室町時代の古文書には、タカのみならず、キジ、ウズラ、ヒバリ、コウなど、様々な鳥の名が記され、鳥を台に据えて出す心得なども説かれています。

鳥ところで、環境破壊による自然の変化により、生息できなくなった思いもかけない上位種が減って下位種が繁殖しています。
ハト、カラス、ムクドリなどによる農作物の被害、音や糞による被害は後を絶ちませんが、きちんと生ゴミを処分しないなどの人的な要因で鳥害が広がることもあります。

またツバメの糞に悩まされている方もいらっしゃると伺います。
ツバメが家に巣をつくると幸運が訪れる、といわれるような縁起担ぎだけでは済まないことではないかと思います。
ただし、鳥害を嘆くばかりでなく、環境破壊をできるかぎり減らす努力を私たちひとりひとりがこころがけ、自然と共存する努力をしなければならないのではないでしょうか。

古代アンデス文明展

上野の国立科学博物館特別展として古代アンデス文明展が開催されています。

先史時代からインカ帝国滅亡までの約15000年の間には、なんと九つもの文化が栄えたアンデス地域。
文字を持たないなか、アンデスの人々は彫刻や土器を通じて、宗教や様々な世界観を表しました。

レプリカ美しい土器や織物などの模様や装飾品なども素晴らしかったのですが、そのなかでも男女の交差した手のレプリカにも魅せられました。
先土器期後期(前2500年~前1800年)のものですが、向かって左側は男性の手、右側は女性の手。
アンデス特有の二元論(ものごとを相対立する二つの原理、要素に基づいてとらえる立場)を表しているとされますが、なぜ男性は右手を上に重ね、女性はその反対なのか、興味をそそられました。

全てをゆっくり鑑賞する時間がなかったものの、大変貴重な機会でした。
慌しく過ごしてしまいがちなときこそ、美術館や博物館を訪れ、こころをリセットしてみてはいかがでしょう。

最後の一足

「演者は、舞台から揚幕に入る最後の一足を大切にして退場するこころがけが重要」というお話をお能の関係者から伺いました。

このような心得は、小笠原流礼法において重んじている残心に通じますし、日常生活のあらゆる場面でも活用できるのではないかと思います。

お花たとえば、先日あるお店で買い物をし、お店のスタッフの方がドアの外で見送ってくださったときのこと。
お店を出てしばらく歩いてからドアの方へ振り返ると、ちょうどスタッフの方は店内に戻るところでしたが、先程までの明るい表情から笑顔は消え、慌しくドアを開ける姿を拝見し、少々考える機会をいただきました。

礼法では、様々なものを運ぶ、下げる、置く、渡すなどという所作のお稽古もあるのですが、部屋に入室するときだけでなく、退出するときの一足にまでこころを込めて振る舞うことをこれからも伝え続けてまいりたいと思います。

根付

江戸時代、印籠やたばこ入れなどを腰に下げるにあたり、あるものを紐の先端につけることで滑り止めの役割とし、帯から外れないようにしました。
これを根付と呼びます。
根付は木、象牙、金属、水晶など、さまざまな材料を用いて人物や動物、あるいは器物などの彫刻を施し、工芸品としても発達したのです。

根付和装の機会も多いため、根付には以前から興味があったのですが、今までは身につけることがありませんでした。
しかし、生まれ年の干支である午のかたちの根付と出会う機会がありました。

なかには驚くほど高価なものもありますし、深めようとしたらきりがないのですが、大きさや顔の表情にも品格があり、一目で気に入ってしまいました。
こどもの頃に欲しかった人形やおもちゃを手に入れる、そのような嬉しい気持ちになりました。

先日のとんぼに続き、最近は生き物をモチーフにしたものの話が重なっておりますが(笑)、実際に身につけられる点が根付の魅力のひとつです。
和装で外出するさいには早速、この根付を身につけたいと思っています。

卒業生とのひととき

聖徳大学附属女子中学校・高等学校において、卒業生に向けての特別授業に行ってまいりました。
トランプ大統領来日中だったため、高速道路渋滞の心配もありましたが、無事に学校へ到着することができました。

毎年、各クラスで数名の方から礼法の授業に関して、感想を伺っています。
毎年、お辞儀、着付け、お茶とお菓子のいただき方が為になり楽しかったという意見が多いのですが、今年は今までにない感想も伺うことができました。
「正座の状態から姿勢を崩さずに立ち上がる、あるいは座ることは礼法の授業を受けるまで知りませんでしたが、身につけるととても美しいと思います」という感想を発表してくださる姿そのものも自然で美しかったです。

また扇子の受け渡しに関しても次のような嬉しい意見を伺いました。
「物を両手で渡すことは、丁寧でしかも品格があって美しいと思います」
品格をこころがけて行動することは、おとなであっても難しいですが、高校生の頃からこのような心得があると、将来、社会人になったときにはさらに素敵な振る舞いができるのではないかと思います。

お辞儀卒業生に対して授業を行うようになってから、今年でちょうど20年。
生まれたばかりの赤ちゃんが成人するほど、年数は経過しましたが、生徒の皆さんはいつも素直で可愛らしく、大きな喜びをくださいます。

来年3月7日の卒業式で皆様と再会できることをこころ待ちにしております。
授業を行うにあたり、お世話になった先生方に感謝申しあげます。

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