お花見の代わりに

今年は異例の早さで桜が咲きました。
桜を愛でることは、季節感を大事にする日本人にとって、いつの時代も欠かせない風物詩のひとつです。
しかし、お花見どころではなく、気づけば自宅付近のソメイヨシノの花は舞い始め、緑の葉が目立つようになりました。

本来4月は、入学式、入社式など、新たな生活をスタートする喜ばしい時期にもかかわらず、悲しみや不安でおこころを痛めている方も多くいらっしゃることと拝察いたします。
このような状況において、私たちがこころがけることとは何かを考えるたび、礼法の本質に触れる機会が増しています。

自己を慎み、相手や周囲を察し、状況の変化に対して臨機応変な判断をもとに自然に行動することが礼法の基本です。
それには、こころの視野をできるだけ広くする。
このような心得を、誰もが互いに忘れることなく日々を過ごすことが大事ではないかと思えてなりません。
一方、私には想像もできないほどの苦難を乗り越えなければならない方がいらっしゃるかと存じますが、少しでも良い方向に進まれますことを心底よりお祈りするばかりです。

20200402さて、知人から「お花見に行く代わりに」というメッセージと、写真の素敵なお菓子を頂戴いたしました。
笑顔は免疫力アップに欠かせませんが、わずかな時間でも皆様の笑顔のきっかけとなりましたら光栄に存じます。

いま思い浮かぶ伝書の教え

少し前になりますが、直門のお稽古時に「いま、瞬時に思い浮かぶ伝書の教えを一つあげてください」とお伝えしました。

女性の方から、最近宮尾登美子氏のある著書を読んだときに人との対面前の身繕いに関する箇所と、伝書にある目に立たない自然なお化粧をこころがける教えとが重なり、改めて身嗜みへの理解と関心が深まったそうです。

事務所でのお稽古時は靴を脱いでスリッパに履き替えていただくのですが、男性の方は自分のスリッパを持参するべきか。それとも準備されているスリッパを拝借しないことは失礼にあたるのではないか、とも考えていた。
なぜなら次の伝書の教えが思い浮かんだからとのこと。
茶碗が熱くて持てないと失礼であるというこころ遣いから抹茶茶碗が台にのせて出されているときには、すぐに台から茶碗を取り下ろすとあたかも台は必要ないといっているようで失礼なので、まずは台ごと持ってお茶を飲むようにと記されている。
このように、相手がしてくださったことをあらためるような行動を避けるこころ遣いについて、スリッパが用意されていることと照らし合わせながら思いを巡らせていたと話してくださいました。

もう1名の女性からは、最近、視力の低い人が暗いところでも周囲が見やすいレンズが開発されたのだが、伝書に目の不自由な人を席まで案内をするときには相手の立場で行うようにという心得についての箇所を思い出した、というお話も伺いました。
そのレンズは大変高額なため、今後は少しでも手に取りやすい価格にして目の不自由な方に使っていただけるような活動をしていきたい、という優しいおこころにも触れることができました。20200330

伝書の教えをそれぞれの生活の中で活かしている素敵なお話は、いずれも私のこころに響きました。
時折、このような皆様のお考えを伺ってまいりたいと存じます。

太田垣蓮月

20200326 1オフィス周辺を桜の花びらが舞い散るなかで歩いていたときのことです。
ふと、過日桜餅をいただきながらある和歌を拝見したことを思い出しました。

「おくやまのはなのしらゆきながれきてはるのすえくむかわつらのさと」

20200326 2この歌は江戸時代後期の尼僧、歌人、陶芸家である太田垣連月によるものです。
京都市北区にある神光院は花菖蒲の隠れ名所ですが、ここに連月は75歳の頃より隠棲し、境内には 「蓮月尼旧栖之茶所」と刻まれた石碑とともに、茶室(蓮月庵)が残されています。
そして、ここから少し離れた西方寺裏山の小谷墓地に連月は眠っています。

来年の春先にこの素敵な和歌を思い浮かべながら、あるいは花菖蒲の時期に、神光院に足を運んでみたいと思います。

ご不安をおかけいたしまして

ある温浴施設に行ったときのことです。20200323 1
ロッカーまで案内される途中、洗面台近くに置いている最新の多機能付ドライヤーについて、使い方の説明をスタッフの方から伺いました。
入浴後、いざ使用しようとドライヤーについているあらゆるボタンを押したのですが、全く動きません。
お手数をかけてしまうと思いつつも、フロントに電話をかけました。

すぐに係りの方がいらして、
「ご不安をおかけいたしまして、誠に失礼いたしました。使用方法がわかりにくく、申し訳ございません」
と最初に伝えてくださいました。
単に「申し訳ございません」ではなく、「ご不安をおかけし」という相手を慮る表現が加わると、好印象が高まることはいうまでもありません。
20200323 2その後、ドライヤーの活用方法をゆっくりとしたペースで教えていただき、無事に髪を乾かすだけでなく、肌にも良い効果を得ることができました。

このように、素敵なことばがけで人に安らぎを与えることをできます。
適切なことばの選び方について、これからもお伝えしてまいりたいと存じます。

招き猫

今年の春の彼岸入りは3月17日、明日は中日でもある春分の日です。

20200319先日、お墓参りに行ったときのことですが、野良猫がじっとこちらを見ていたので、思わず写真に収めてしまいました。
そこで本日は猫にまつわることとして、招き猫について触れてみたいと思います。

江戸時代から始まったとされる招き猫、右手をあげているのは開運招福、左手をあげているのは千客万来のご利益があらたかであるともいわれ、現代においても特に飲食店に置かれていることが珍しくありません。
関東においては、張り子の招き猫がだるま市で売られています。

また、猫は農作物や蚕の害敵であるねずみを追い払うことから、招き猫を購入する農家が多いと聞いたことがあります。

先祖のお墓まいりから、かなり話が脱線してしまいましたが、お彼岸は先祖供養だけでなく、自分自身も煩悩のない極楽浄土を目指してこころを磨く素敵な期間とも考えられます。

明日から連休の方もいらっしゃるかと存じますが、うららかな週末をお過ごしください。

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