始めよう、そして続けていこう

出張の移動中、飛行機内で映画を見ました。
映画のタイトルは「LBJケネディの意思を継いだ男」。

LBJとはリンドン・ベインズ・ジョンソンのことで、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺後、副大統領から第36代アメリカ合衆国大統領になった人です。
映画はジョンソンの演説で幕が下がるのですが、演説中の「let us begin」「let us continue」ということばがこころに残りました。

jfkkkご承知の通り、ケネディは公民権への政策に対して、「百日間、千日間、政権の存続する間、一生かけても終わらないかもしれない。しかし、それでも始めよう(But let us begin)」と語り、その意思を継いだジョンソンは「続けていこう(let us continue)」と語りました。

変化をするには、様々な試練や困難を乗り越えなければなりません。
しかし、それを恐れいていては何も始まらない。
変化をするための第一歩を誰かが始めなければ道は切り開かれない。
そして、前任者が始めたことを後任者はその意思を受け継いで続ける。

先代は惣領家に受け継がれてきた礼法を初めて人々に伝えることを始めました。
そこにはあらゆる困難があったかと思います。
その意思を継ぐものとして、代々継承してきた教えの基本を守りながら伝統を守るために新たな始まりをつくることの必要性、映画を見ながら考えていました。

この映画の日本公開は今年10月6日のようですが、久しぶりに映画館で映画を見たい気持ちになりました。

わからないことを認める素直なこころ

先週、小笠原流礼法宗家本部教室において、夕方と夜の2クラス、どちらも長きに渡りお教室に通ってくださる門下の方々に向けて講義を行いました。

お教室に入ると、すでに重陽の節供の飾りをしてくださっていたので、暖かな雰囲気を感じながら話を進めることができました。
小笠原流の教えの中に、各節供には季節のものを飾るという教えがあります。
重陽では長熨斗、菊の花、栗、柿、里芋などを三方にのせたものを床の間に飾ることにより、収穫物に感謝しながら、室内に季節感を取り込むことができます。
それにより、生活にめりはりがついて、豊かな日常を過ごすことにも繋がります。

講義内で贈答、重陽についてあらゆることを一人一人に質問しました。
IMG_3589わからないことがあったとき、「申し訳ありません、わかりません」と素直に伝える姿勢を皆様が持っていらっしゃることが素敵に思いました。
積極的に学びながら、素直な気持ちを持ち続ける大切さを改めて教えていただきました。

次回の教室で、皆様とお会いできることが今から楽しみです。

ごみが落ちていたら

本日、北海道の胆振地方中東部を震源地とした最大震度6強の地震が発生しました。
地震による被害に遭われた方々、また過日の台風による被害に遭われた方々におかれましては、こころよりお見舞い申しあげます。

師範の方々とのお稽古中に、与えられた指示に対しては比較的、忠実に行動することができても、どうしたら相手や周囲の人と楽しく過ごすことができるかという発想に至らない、あるいは感謝の気持ちを表現しないこどもや若い世代の方々が増えている、という話題について考えることがありました。

様々な事柄に関して、こどもが考える前に親が答えを出してしまいがちなこと。
飽食の時代で苦労がないこと。
自分を大切にする、あるいは自分の時間を大切にしたいと思う親が増え、こどもにこころを傾ける時間が減ったこと。

積極的にこころを動かすこどもが減っていることに関して、あらゆる意見が出ました。
食べることすら困難だった時代のほうが、独り占めしないでまわりに分け与えるこころのゆとりがあったのです。
昔は、独り占めすることは恥ずかしいと捉えられていたのです。
恥ずかしさとは反対側にある、日本人が大切にしていたはずの潔さ。
たとえ貧しい暮らしであっても、昔は人々のこころの中に他者から後ろ指を指されるようなことはしない覚悟がありました。

gomiある師範から伺ったのですが、知人の小学生のお子さんが歩いている途中、何か小さなものを拾う姿を目になさったので、しばらくそのお子さんの様子をご覧になっていたそうです。
拾い物、実は誰かが捨てた小さな紙くず。
お子さんは、その紙くずを入り口手前に置かれたごみ箱に捨ててから、教会の中へ入っていったとのことでした。

なんと素敵な行動でしょう。
おとなでも、落ちているごみを拾わない方が増えているのではないかと思いますが、それこそ恥ずかしいことです。
こどもへの深い愛情があったうえのことですが、こどもが大切だからこそ、おとなは、ときにこどもに苦労をさせる潔さを持ち、本来日本人が持っているはずの周囲への優しいこころ遣いを社会全体に取り戻したいものです。

ねぎを巻く

一日中、冷房をつけている中で過ごしているせいでしょうか、週末は少々声がかすれていました。
友人が「喉の調子が悪いなら、ねぎを首に巻いてみたら」と笑いながらいってくれました。
皆様もご存じかと思いますが、昔から日本では風邪のときには喉にねぎを巻く、卵酒を飲む、梅干し入りのお茶でうがいをすると効果があるなどといういい伝えがあります。
実際、効果はあるのでしょうか。
そこで、簡単に調べてみました。

be617d5b4d6eaa108744e59b6fd50793_mねぎは、切ると細胞が壊れてアリシンという香り成分が発生し、これは血流を促進させる効果があり、さらに最近はねぎの青い部分に含まれるヌルという粘液が免疫力をあげるといわれているようです。

梅干しは、疲労回復、整腸作用、殺菌効果などがあるうえ、インフルエンザ予防にも繋がるという説があります。

卵酒は医学的に、特にアルコールに弱い人には悪影響を与えてしまうようです。

医学が発達する前から伝えられてきた民間療法、現代においても否定できないことがたくさんあるのですね。
薬ばかりにたよるのではなく、日本人の体調を整える昔からの知恵を活かすことも素敵ではないかと思います。

八月納涼歌舞伎

月曜日の午後、久しぶりに歌舞伎座へ伺いました。
大変お世話になっている方から八月納涼歌舞伎の千秋楽へお招きにあずかったのです。

IMG_3573拝見した演目は「東海道中膝栗毛」と「雨乞其角」。
東海道中膝栗毛では、スマートフォン、自撮り棒なども小道具に使用。
早替り、さらには宙乗りも拝見できました。
最後の天国の場面では、神無月で出雲へ神々が出かけているうえ、仏滅で仏様もいらっしゃらないということでイエス・キリストが登場して無事、皆が天に召されます。

歌舞伎にスマートフォン、イエス・キリストが登場するなどということ、昔ならば想像もできないことでしょう。
こうした点だけを見ると、あまりにも現代生活にあわせてしまい、文化の伝承はどこへいってしまうのだろうかと考える方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、そうではないのです。
子鬼役で出演されていた市川右近さんは歩き方、踊りなどすべてに間があり、8歳とは思えないほどの落ち着きまでもが感じられました。
最も感激したことは、座っているときの手の表情。
美しく揃えて腿のうえに置かれた指は大人の方々に引けを取らず、一瞬たりとも動くことがなかったのです。

古来より続く芸の伝承はしっかりと受け継がれています。
基本が整えられているからこそ、現代に生きる人々にも感動を与えることができる。
日本の伝統文化を次世代へと受け継ぐために必要なお取り組みをなさっていることの素晴らしさを痛感いたしました。
続く「雨乞其角」は、雨乞いの句を詠むと、久しぶりに雨が降り、喜びのあまりに皆が踊りだすという楽しくもありながら風情のある舞台でした。

楽屋へご挨拶に伺った後、外に出てみると、まるで舞台にあわせて突然、雨が降っていた様子で、清々しい夕暮れの空を見ることができました。
これからは間を空けずに歌舞伎を拝見したいと思います。

このページの先頭へ