一歩立ち止まる

エレベーターでの乗り降りのさい、国内外問わず、外国の方と一緒になると感じることは、表情と譲るこころの大切さ。
目が会うと自然な笑顔で挨拶をしてくださったり、エレベーターの出入りのさいには、「お先にどうぞ」と譲ってくださいます。
先日、海外に行ったときにもエレベーター内に入った瞬間に「おはようございます」「おやすみなさい」と微笑みながら声をかけてくださり、出入り口のドア付近では何度もドアを押さえて道を譲っていただきました。

さて、復路の機内は、ほとんどが日本の方。
限られた空間のなかで、偶然だったのかもしれませんが、立ち止まって通路を譲ってくださったのは欧米の方々だったのです。
長いフライトでお客様、客室乗務員の方、皆様が疲れていらっしゃることは十分理解できるのですが、一方で寂しさが過ぎりました。

黄色いお花日本には繊細で清潔感を重んじる素晴らしい文化があると実感するだけに、人のこころにゆとりがなくなっている状況を変えることができたら、と思えてなりません。
外国人の観光客が増えるなか、一歩立ち止まるゆとりの素晴らしさを、日本人から感じていただけるようなこころの文化を培っていきたいものです。

春の色

桜の開花予想、東京は3月22日頃と発表されました。
朝晩はまだ冷えますが、春の到来が近いことを感じさせます。

春の色、皆様は何色を思い浮かべられますか。
桃色、桜色、黄色などでしょうか。

小笠原流礼法の伝書には

春の素襖袴のこと。柳色に染め・・・

とあり、別の古文書には

春は草木とともにも萌え出ずるゆえに萌黄色を用いるなり

と記されています。
平安時代から使われていて萌木色とも書き、現代の黄緑と呼ばれる色に近いものです。
柳色は縦糸を萌葱色、横糸を白で織ったものですので、昔から柳色と萌黄色が春の色とされることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

萌黄色日本人は季節の色を着物だけでなく、武具や調度品などにも用いて楽しんできました。
現代においても、季節感のある色彩を暮らしに取り入れることで生活が豊かになるのではないかと思います。

ところで、本日は春分の日。
自然をたたえ、生物をいつくしみ、先祖の成仏を願ってゆったりとした気持ちで過ごされてはいかがでしょう。

果物の種

先日、食事中にある質問を受けました。
内容は果物の種について。
改まった席で果物を食べるさい、種はどこに置くべきかという質問でした。

小笠原家に伝わる教え歌には

果物を食するときに種あらば紙に包みて袖に入れるべし

とあります。
実際に果物を召しあがった後、紙で包んで持ち帰ることは状況にあわないことも多いでしょう。
大切なポイントは、同席者に不快感を与えないようにとする「慎みの気持ち」を忘れないことです。

葡萄の種ぶどうやさくらんぼなどの種は、ナプキンで口元を隠し、フォークのうえに種を出し、それをお皿のすみに置きます。
ナプキンがない場合は、フォークを持っていない側の手で口元を隠します。
果物の種や皮をすみに置いたものの、見た目が美しくないと思う場合は、紙ナプキンや懐紙を軽くたたんだものをうえに置いてもよいです。

自宅で果物を食べるときも、見た目が汚くならない種や皮の残し方をこころがけることをおすすめいたします。

お箸の種類

昨年8月4日にもお箸について記しましたが、今日はお箸の種類についてご紹介したいと思います。

柳箸:柳で作られ、両端が丸くて細くなっており、祝い箸とも呼ばれる箸
利休箸:千利休が考案した中央がふくらんでいる箸
元禄箸:角を削り割れ目に溝を入れている箸
天削箸:頭部を斜めに削っている箸
丁六:加工されていない割り箸

お箸柳は折れにくく、「家内喜」に通じる。
檜は「日の木」ともいわれ、建材としても最高級品である。
杉は防腐作用があり、杉の木は日本一樹高が高いといわれる。
桑は中風を治したり、予防できる。

このようにお箸の材料は柳、檜、杉、桑などを用いた白色の木製が使われてきました。
清浄感を重んじることから、お箸は一度だけ使用するという考えが基本。
したがって、たとえ高価であっても、何度も使用できる塗り箸は略式とし、改まった食事の席では木製のものを準備します。

お箸は主に個々に使用する手元箸ととり箸に分かれます。
懐石料理で使用されるとり箸は、杉や竹のものが多いでしょう。

日常生活で使用するお箸は好みの色や柄の塗り箸でもよいと思うのですが、木製の箸の種類がこれだけあるのですから、時・場所・状況に応じた素材のお箸で食事をするゆとりも大切にしていただきたいと思います。

卒業式

卒業式*3月6日の聖徳大学附属取手聖徳女子中学校高等学校から始まり、聖徳大学附属女子中学校高等学校、聖徳大学附属小学校、各校の卒業式に伺いました。
卒業式に伺うようになってから、今年で20年。

初めて卒業式に伺ったとき、生徒の皆様の和が感じられる素晴らしい雰囲気、凛とした姿と立ち居振る舞いに感動し、卒業生が退場する場面では涙があふれてしまいました。

今年はどちらの卒業式も、まるで20年前の卒業式の頃のようにすべてが新鮮で、卒業生の謝辞で目頭が熱くなり、涙がこぼれないようにとまばたきが多くなるばかりでした。
式後の退場時、ハンカチで涙を拭いながら卒業生を誘導する担任の先生の姿に思わずもらい泣き。

「いま 別れのとき 飛び立とう 未来信じて 弾む若い力信じて このひろい このひろい 大空に…」
小学校の卒業式では後半、卒業生と在校生による「旅立ちの日に」の合唱。
この曲は息子が小学校を卒業したさいに謝恩会でお母様方と合唱した曲で、壇上の席に座りながら、保護者席にいるかのような気持ちで拝聴していました。

卒業式毎年、感動的な卒業式なのですが、このように涙もろくなったのは、年齢を重ねたせいでしょうか(最近このような発言が増えましたことをご容赦ください!)。
卒業生の皆様がご自身の力を信じ、いつまでも素直なこころで、負けずに、笑顔でひろい大空を羽ばたかれますよう、衷心よりお祈りいたします。

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